2022年3月15日、岡山で28歳のベトナム人の技能実習生が同僚をナイフで切りつける事件が起きました。
加害者の技能実習生は警察に緊急逮捕されたそうです。
殺人未遂 技能実習生のベトナム人逮捕 容疑で岡山県警総社署、会社同僚を刃物で切り付け(山陽新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
このような実習生同士のトラブルは後を絶ちません。
小さな諍いならまだしも、彼らの国民性にもよるのか、日本人よりも手が出やすく、場合によっては冒頭のような警察沙汰になりかねません。
そうなれば本人、被害者の実習生はもとより、企業としても大きな損失です。
こうした事態を避けるため、なぜ喧嘩が起きるのか、起きた時にどうすべきなのかをお伝えします。
喧嘩の原因
実習生同士の喧嘩の原因は、「生活習慣の違い」と「共同生活」に集約されます。
実習生は複数で共同生活をしていることが多いため、生活習慣の違いがストレスとなり、喧嘩に発展するというわけです。
具体例をあげていきましょう。
生活習慣の違い
生活習慣の違いとしてはトイレを流さなかったり、室内でタバコを吸うなどがあります。
同居人に潔癖症な人がいる場合もトラブルになりやすいです。
また、彼らはお金にシビアなため、電気や水道の無駄遣いも喧嘩の原因となります。
生活リズムの違い
昼勤と夜勤の人が同室の場合も寝たいのに音がうるさく眠れないなど、喧嘩になることがあります。
ゲームに夢中になる
知り合いのいない日本での生活や仕事の孤独を紛らわせるため、オンラインゲームにのめり込む実習生もいます。
そして、ゲームに夢中になるあまり夜中に大声をあげたり、キーボードを叩く音がうるさかったりして、喧嘩になることがあります。
外国人実習生の喧嘩の特徴
手が出やすい
一概には言えませんが、日本人同士より手が出やすく、口喧嘩で収まらないケースが多いようです。
また、口喧嘩の過程がなく、いきなりどちらかが手を出してしまうこともあります。
凶器の使用
手が出るどころか、凶器が使われることもあります。
時に、鉄アレイや包丁など、命に関わるものが使われることもあります。
たいていそうした場合の彼らの言い分は「脅しただけ」というものですが、殺人事件にまで発展してしまうこともあります。
喧嘩が起きた時の対処法
さて、エスカレートしやすい彼らの喧嘩ですが、実際、暴力や凶器を伴う喧嘩が起きたらどうしたらよいのでしょう。
即帰国
企業によっては、加害側や、もしくは喧嘩両成敗で両者とも帰国させることがあります。
その場合、常日頃から、喧嘩・暴力はご法度であり、もし事を起こしたら帰国させると言い含めておく必要があります。
厳しいようですが、企業にとってはこれが一番楽と言えば楽な対処法であり、他の実習生へのある種、見せしめにもなります。
ちなみに「喧嘩をしたら罰金を取る」というのは、お金が大事な彼らには効きそうなやり方ですが、違法ですのでNGです。
和解させる
有無を言わさず帰国させるのは簡単ですが、それでは問題の解決にはなりません。
費用と時間をかけて採用した実習生を帰国させるのは企業としても損失です。
そのため、企業側の担当者が間に入り、当事者それぞれの話を聞き、妥協点を見つけ、和解させたり、トラブルが起きないような対応を取ることもあります。
喧嘩をさせない・再発防止のためにすべきこと
喧嘩はご法度であることを辛抱強く伝える
企業内だけでなく、日本で生活していく上で、暴力や凶器を使った喧嘩はご法度であり、刑罰の対象になることを折に触れて伝えましょう。
そして日頃から実習生同士でディスカッションさせたり、話し合いで物事を解決させる癖をつけさせましょう。
定期的に日本人の担当者が間に入り、何か問題が起きてないか話を聞くようにするのも良いでしょう。
喧嘩は「経済的」でないことをわからせる
喧嘩は、お金の面からも割に合わないことを伝えるのも効果的です。
なぜなら彼らは日本に技術習得と共にお金を稼ぎに来ているからです。
喧嘩することでお金が減るとわかれば、ある意味では合理的な彼らですから、損になるようなことしないはずです。
具体的には次のような点を伝えましょう。
- 喧嘩で怪我をしたら医療費がかかること
- 大きな怪我をすれば働けなくなり収入が減ること
- 器物を破損した場合は弁償すること
こうしたことを、実際の事例をあげて説明すると、より説得力が増し、抑止効果が高まります。
和解する場合は文書で残す
和解させる場合はその内容を文書で残すことが大切です。
具体的には次のような手順を踏むのが良いでしょう。
➀当事者から個別に喧嘩の理由をヒアリングする。
その際、監理団体の担当者にも同席してもらい、場合によっては通訳もつける。
➁お互いの話を聞き、矛盾点の確認をし、どちらに落ち度があるか客観的に判断する。
③落ち度があると判断した方へ、そう判断した理由を説明し、その上で納得できるか、謝罪できるか確認する。
謝罪できる場合、もう一方へも謝罪を受け入れられるか確認する。
④お互い許し合えるようなら、第三者立ち合いの元で謝罪の場を設ける。
⑤ ➀~④までの内容と、お互いが納得したことを「和解書」として文書で残す。
文書で残すことにより、同じことはできないという、抑止力にもなります。
また、どちらかが怪我を負った場合は、治療費などの負担についても文書で残します。
これもあとになって、「言った言わない」のトラブルにならないようにするためです。
文書は実習生の母国語と日本語の2部作成しましょう。
配置換えなどをする
もし和解が無理そうであれば、当事者同士を別々の部署に配置換えしたり、部屋を変えるなど、物理的な接触機会を減らすしかないでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は実習生同士の喧嘩とその対処法について説明しました。
企業としてもたかが喧嘩と侮らず、大きな事件に発展する前に日頃から予防に取り組み、もし喧嘩が起きた際も冷静に対応できるようにしましょう。