技能実習生の【妊娠・出産】について対処法を公開

2022年3月11日   ブログ

技能実習生の本分は言うまでもなく「技能の習得」です。

しかし人である以上、時に日本での実習中に妊娠、出産をするような事態になることもあるでしょう。

もちろん、雇用している企業としては、そうした事態になることに対し、色々思うところもあるでしょうが、冷静に対応する必要があります。

間違ってもそうしたことを理由に解雇などしてはいけません。

そこで今回は、技能実習生が妊娠、出産した時、雇い主である企業がすべきこと、そして本人が何をしなくてはいけないかについて説明していきます。

 

 

1法律上で求められる対応

先ほど、技能実習生が妊娠、出産したからといって「面倒なことになった」と、解雇してはいけないと書きました。
なぜなら彼らも日本で働く労働者である以上、労働基準法などの法令で守られているからです。

ですから、技能実習生自身に出産したいという意思がある場合は、実習を一時中断し、妊娠、出産に備えさせることが必要です。

 

 

2監理団体や受け入れ企業が行っておきたい対応

妊娠、出産により実習を一時中断した場合、費用の問題が発生します。

企業側も実習が長引く分、余計に費用がかかりますし、実習生自身も日本での生活費が余計にかかってきます。

ですから、実習中の妊娠、出産については、監理団体や企業が折に触れ実習生に説明と注意喚起を行うべきです。
また、企業はもし実習生が妊娠した場合に相談しやすい環境を作っておくなど、日頃からの準備も大切です。

 

 

3技能実習生が妊娠した時の企業側の対応

実習生が妊娠したら、企業はまず次の2点を行ないましょう。

  1. 本人が保健指導または健康診査を受けるための時間の確保
  2. 本人が医師等から受けた指導事項を守れるようにするための措置

つまり、妊娠した実習生のために勤務時間や業務内容を調整する必要があるということです。

 

 

4技能実習生が母国での出産を希望した場合の対応

実習生が母国での出産を希望する時、そのまま実習も終了を希望する場合と、出産後に実習の再開を希望する場合の2通りがあります。

 

➀実習を終了する場合

監理団体から技能実習困難時届出書をOTITへ提出する

航空券など、帰国に向けた手配を行う(費用は企業負担となります)

 

➁出産後に実習の再開を希望する場合

実習を終了する場合の手続きに加え、実習が中断した理由書と技能実習計画をOTTへ提出し、本人の希望を考慮した技能実習計画の認定申請を行います。

 

 

5妊娠した際に本人がやるべきこと

妊娠した際にやるべきことは、外国人である実習生も基本的には日本人と同じです。
まず住んでいる市区町村に妊娠の届出を行い、下記の提供を受けましょう。

  • 母子健康手帳の交付
  • 妊婦健康診査を公費の補助で受けられる受診券または補助券の交付
  • 保健師などによる相談
  • 母親・父親(両親)学級の紹介

5-1妊婦健康診査を受診

定期的な医療機関の受診が必要です。
産婦人科医や助産師などのアドバイスを受けながら、健康を管理しましょう。

 

5-2保健師・助産師などによる訪問指導

実習生にとって慣れない土地、そして実習中という立場での妊娠、出産には不安がつきまといます。
ですから保健師など専門家からのアドバイスは大きな助けとなるでしょう。
企業側は通訳を用意するなどのフォローをしてあげましょう。

 

5-3母親・父親(両親)学級

各市区町村では、妊娠・出産に関する知識が学べる様々な教室が開かれています。
こうした場に参加するメリットは、知識が身につくだけでなく、妊婦同士の交流ができることにあります。

 

 

6出産後に本人がやるべき届出

➀出生届の提出

出産日から14日以内に、出生届を提出しましょう。

提出先は、子供が生まれた場所か、届出人が住む市区町村です。

なお、万一、在留資格がない状態で出産から60日を過ぎると、住民票が消されます。

そうなると児童手当などの行政サービスが受けられなくなります。

企業は、実習生が日本で出産することが決まった時点で、在留資格の確認を必ずしましょう。

 

➁本国への届出

父・母ともに外国の国籍である場合、子どもが日本で生まれても日本国籍は取得できません。

そのため、子どもの出生を本国へ届け出る必要があります。

詳しい手続は、両親いずれかの国の駐日大使館に問い合わせれば教えてもらえます。

 

 

7出産や育児についての手当てや給付金

妊娠・出産に関わる費用を実習生が全額負担するのは現実的ではありません。
そこで、妊娠・出産を経済的にサポートする制度を上手に利用する必要があります。
申請しないと受けられないサービスがほとんどなので、企業側がそうした制度を理解し、実習生をフォローしてあげることが必要です。

 

7-1出産育児一時金

出産した実習生が健康保険加入者だった場合、出産費用として42万円が支給されます。

 

7-2出産手当金

出産した実習生が健康保険の加入者で、出産のために会社を休み、その間、給与の支払いが受けられなかった場合、下記の期間内での欠勤分に対し、出産手当金が支給されます。

期間:出産(予定)の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日まで

金額:1日につき原則として賃金の67%相当額

 

7-3育児休業給付金

出産した実習生が雇用保険の加入者で、以下の条件を満たす場合、ハローワークへ支給申請すれば育児休業給付金がもらえます。

  • 子供が1歳未満で、育児休業を取得した
  • 育児休業を開始した日の前2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
  • 育児休業中の賃金が休業開始時の賃金と比べて80%未満に低下など一定の要件を満たしている

 

 

まとめ

いかがでしょうか。
技能実習生が妊娠、出産するというのは、企業にとっては想定外なことでしょう。

しかし、十分あり得る事態です。
実際そうした実習生が出たときは、今回の記事を参考に、実習生が実習を全うできるよう、出来る限りのフォローをしてげましょう。