必ず配置!技能実習責任者とは?

2023年6月21日   ブログ

技能実習には守らなければならないルールがいくつもあります。

労働基準法など働く人を守る法律は日本人にも技能実習生にも適用されます。

逆に、技能実習法や出入国管理及び難民認定法のように技能実習生だけに影響があるものもあります。

受入れ企業にとっても、技能実習特有の制度があります。

そのうちの1つが「技能実習責任者講習」です。

 

技能実習責任者とは?

企業を経営する上で「〇〇〇責任者」という役割がたくさん登場します。

飲食店では食品衛生責任者が、職場環境を守るために統括安全衛生責任者や安全衛生責任者が配置されています。

そして、技能実習制度でも「技能実習責任者」が必要とされているのです。

 

技能実習責任者の役割は技能実習を管理・監督すること。

技能実習の現場全体を俯瞰して見ることができる立場です。

技能実習生に直接指導する「技能実習指導員」や「生活指導員」という役割もありますが、技能実習責任者はその人たちの1つ上のポジションとなります。

また、技能実習計画の進捗が予定通り進んでいるかのチェックも技能実習責任者の仕事です。

 

【主な技能実習責任者の業務】

  • 技能実習計画の作成
  • 技能実習生が修得などした技能の評価
  • 行政機関や監理団体に対する届出・報告・通知やその他の手続き
  • 帳簿書類の作成・保管、実施状況報告書の作成
  • 技能実習生の受入れの準備や監理団体との連絡調整
  • 技能実習生の保護
  • 技能実習生の労働条件、産業安全及び労働衛生について
  • 国及び地方公共団体の関係機関、機構その他関係機関との連絡調整

 

技能実習責任者は「事業所ごと」に配置しなければなりません。

A県に本社がありB県にある支店がある会社で、本社と支店の両方とも技能実習生がいる場合には、それぞれに技能実習責任者が必要となります。

このように、技能実習責任者は形式的な責任者ではありません。

配置も義務とされていて、実習をしっかりチェックすることが求められているのです。

 

技能実習責任者になる条件とは?

3つの条件を満たす必要がある

技能実習責任者になるためには以下の条件を全てクリアしなければなりません。

 

  • 技能実施者(受入れ企業)またはその常勤の役員や職員である者
  • 自分以外の技能実習に関わる職員(技能実習指導員や生活指導員など)を監督できる立場の者
  • 過去3年以内に技能実習責任者講習を修了した者

 

条件を見ていると、技能実習責任者は部課長クラスや取締役など上位の役職が当てはまることがわかります。

他の職員を監督できるということは「部下を持つ立場」になるからです。

そのため、新卒の社員を責任者とすることはできません。

さらに、3年以内に技能実習責任者講習を受けている必要があり、肩書だけではなく専門的な知識を持っていることが求められます。

 

技能実習責任者になれない人もいる

条件を満たしていても技能実習責任者になれない人がいます。

 

  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過していない者
  • 過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当な行為をした者
  • 未成年者

 

禁錮とは刑務所に身柄が拘束される刑罰のことです。

死刑>懲役>禁錮>罰金>拘留及び科料 と重さ順に並べると真ん中にあたります。

懲役と違い刑務作業はありませんが、長期間自由が奪われるので重い罪といえます。

禁錮以上では出所後であっても5年間は活動が制限されてしまいます。

入管法や労働基準法などに違反した者も適性が疑われるためなることはできません。

もちろん、未成年は親の監督下にあるので対象外となっています。

 

技能実習責任者は技能実習指導員と生活指導員を指導する立場です。

しかし、中小企業では適切な人材が少ないという現実もあります。

そこで一定の条件を満たしていれば兼任することも可能とされています。

一方で、1人の負担が大きくなるので複数人で業務にあたる方が技能実習生の満足度向上やトラブル防止にも繋がります。

 

技能実習責任者になるためには責任者講習が必須!

 

責任者講習とは?

技能実習責任者になるためには責任者講習を受けることが必須です。

この講習を受けることで、技能実習を管理・監督するための知識を深めることができます。

責任者講習の有効期間は3年で、定期的に受講することが求められています。

 

講習内容とは?

責任者講習はたっぷり1日を使った講習です。

実施する団体によって当日のスケジュールや内容に違いはありますが、厚生労働省がモデルとする講習内容をご紹介します。

 

講習項目 講習時間
技能実習の適正な実施と技能実習生保護に関する法律について 1時間
出入国管理及び難民認定法について 0.5時間
労働関係法令について 2時間
技能実習指導の行い方 1時間
個人情報保護の取扱いに係る技能実習法遵守と公正な採用選考について 1時間
理解度テスト 0.75時間
技能実習生とのコミュニケーションについて 0.5時間

 

合計で7時間となっていますが、実際の講習は6時間ほど。

そこに休憩を入れて全体で7時間30分なので、ボリュームは大きいですよね。

 

理解度テストの内容とは?

責任者講習には理解度テストが設けられていて、7割以上正解しなければなりません。

問題は難しいものではありませんが、居眠りしていて全く聞いていなければ不合格になる可能性は大いにあります。

理解度テストの採点は当日中に行われ、合格していれば受講証明書を受け取ることができます。

不合格だと再受講となり時間と費用が必要となるので、しっかりと講習を受けるようにしましょう。

 

開催回数は少ないので注意!

責任者講習は国から認められた講習機関が行います。

2023年1月時点では10団体があり、1団体あたり各県で年1~2回程度開催しています。

そう考えると、月に1回程度は開催しているのでは?と思いますよね。

しかし、全ての団体が全国展開しているわけではありません。

近畿地方では6団体のみで、開催時期もバラバラです。

日程が悪いと隣の県まで行かなければならないでしょう。

さらに、定員に達してしまうこともあります。

オンライン講習は開催回数も多い一方、人気も高く予約が取れないことも。

受講代金も対面では約13,000円、オンラインでは約18,000円と安くはありません。

対面の方が知識も身につきやすいので、地元開催の講習を早めに予約するように準備するよう心がけましょう。

 

まとめ

技能実習責任者は技能実習制度の運用を任されている立場です。

監理団体の監査に対応したり、トラブル対応など状況判断力も求められたりします。

そのため誰でも技能実習責任者になれるわけではなく、受入れ企業は正しい知識と経験を持った人を配置する必要があります。

 

ふれんど協同組合では技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員など実習をする上でとても重要なポジションの説明についても丁寧にご案内しています。

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