技能実習生が妊娠したことが分かったらどうしますか?
子どもを授かるのはおめでたいことです。
ですが、 多くの企業では想定をしておらず、動揺してしまうでしょう。
ここでは、企業が知っておくべきことを確認しましょう。
まずは冷静になって考える
技能実習生が妊娠したと聞くと、混乱してしまいます。
ですが、日本人の女性従業員が「妊娠しました」と言ったらどうでしょうか。
就業規則や労働基準法などを参考に、出産前後のことを考えますよね。
技能実習生であっても、まずは考えてみましょう。
そして、技能実習生ならではの要素を組込んでみると、冷静な判断がしやすくなるでしょう。
まず大切なことは、妊娠を理由に技能実習を一方的に終了することはできないということです。
技能実習生には技能実習を最後まで行う意思があるかを確認しましょう。
もし、実習終了を希望する場合には、通常の技能実習終了と基本は同じです。
このとき、技能実習実施困難時届出書の提出など手続きが必要です。
また、帰国費用を技能実習生に負担させることはできません。
では、次からは継続することを選んだ場合を見て行きましょう。
どこで出産するかで分かれる
出産のために技能実習は中断となり、外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時届」の提出が必要になります。
また、どこで出産するかが問題になります。
日本人でも産前産後の負担軽減のため「里帰り出産」をするのと同じです。
一時帰国して出産する場合
技能実習終了時と同じように帰国をします。
出産は母国での問題なので、企業としては関与することは無いでしょう。
技能実習は出産によって実習が中断することになります。
ですので、中断した理由と技能実習計画を改めて外国人技能実習機構に提出をしなくてはなりません。
本人が日本に戻ってきたら、実習は再開となります。
日本で出産する場合
技能実習生に日本の制度、手続き、施設についてのアドバイスをしましょう。
例えば、母子健康手帳の交付や妊娠健康診査など、公的な支援制度です。
心身ともに不安定な妊婦への心強い味方になります。
出産に関わる社会制度も利用が可能です。
健康保険に加入をしていれば、原則として、出産(予定日)の以前42日から産後56日の範囲内まで、出産手当金が受給できます。
金額は1日につき賃金の2/3程となります。
産後休暇は義務として必ず休ませなければなりません。
ですが、産前は本人の申出がなければ、働くことも可能です。
深夜労働の制限や、作業変更などの法規制も技能実習生へも扱いは同じです。
経済的事情と母体保護のバランスにもよりますので、本人と状況をよく話し合いましょう。
出産時の費用は、健康保険から「出産育児一時金」として受給することができます。
費用は病院が請求と受取り代わりに行ってくれます。
そのため支払いは無いか、少なくて済むでしょう。
また、出産自体には保険が適用されませんが、帝王切開などでは保険が適用されます。
育児休業も利用できる
産後休暇後は育児休業を取ることができ、育児休業の申入れを企業は拒否できません。
また、原則1歳まで休業が可能で、雇用保険が要件にあてはまれば「育児休業給付金」も受給が可能です。
育児休業は雇用期間が1年以上であり「労働契約が満了することが明らかでない者」が対象となります。
労働契約の満了の時点は在留期限ではなく、技能実習生の残りの技能実習期間や、次段階(第2号又は第3号)の技能実習を予定しているかで判断をします。
生まれた子どもは?
生まれてきた子どもは、相手の国籍によって扱いが変わります。
技能実習生の間で生まれた子どもには、日本国籍は与えられません。
一方で、相手が日本人ならば日本国籍がありえます。
出生の手続き関係は市町村や、在日大使館に早い段階で確認をするほうがよいでしょう。
また、在留資格の取得手続きは地方出入国在留管理局に相談し、技能実習生へアドバイスをするとよいでしょう。
技能実習生と日本人が結婚する場合
技能実習生と日本人従業員が職場結婚するケースも少なくありません。
頑張っている女性と仲良くなるのは自然なことですよね。
この場合は国際結婚となりますが、日本で一緒に暮らすのは簡単ではありません。
技能実習生の「技能実習としてのビザ」を「配偶者ビザ」に切換える難易度が高いからです。
一般的には技能実習きっちりと終わらせて帰国してから、在留資格を取り直します。
ただし、入国管理局も妊娠・出産の場合は、保護の観点から許可を出すケースもあります。
まとめ
子どもを授かるのはおめでたいことです。
ですが、技能実習生の立場だと困難が待ち受ける可能性もあります。
例えば、母国に一時帰国した場合でも、日本の家賃や光熱費はかかってしまいます。
産前産後休暇や育児休業中に、給付があるとは言え十分な金額とは言えません。
企業や監理団体の支援にも限界はあります。
そこで、技能実習生、企業、監理団体があくまで事実確認として、妊娠時に発生することを理解しあうことが大切となってきます。
おめでたいことが、悲しい出来事のスタートにならないようにしなくてはなりません。