技能実習生が病院に行く時の注意点とは?

2022年12月12日   ブログ

私たちが海外旅行や出張の最中、体調不良で海外の病院を利用しなければならない状況を想像してみると、たくさんの疑問や不安が湧いてくるのではないでしょうか。
技能実習生が怪我や病気になったら病院に連れていきます。
しかし実習生本人にとっては、日本に住んでいると当たり前だと思うことが高いハードルになっていることもあるのです。

医療保険の内容は日本人と同じ

私たちが普段使っている「保険証」。
これは日本国内のみで使うことができます。
技能実習生が母国の健康保険に加入していて保険証を持っていても、日本では使うことができません。
ですので、日本で働いている技能実習生は健康保険または国民健康保険に加入することになります。

2つとも基本的に受けられる保険内容は変わりません。
日本人と日本で働く外国人で受けられる内容に違いもありません。
保険が適用される病気・ケガなら原則3割の自己負担で治療を受けることができます。
治療費が高額になれば高額医療費制度も利用することができます。

健康保険料は厚生年金保険料と一緒に給料天引きされ、受入れ事業所が支払うことになるので技能実習生が滞納して健康保険が利用できないということは考えにくいでしょう。
一方、国民健康保険料は実習生のもとに送られてくる納付書や口座振替で納付するので、未払いにより利用できないリスクもあります。

病院を利用する流れとは?

英語や母国語に対応した病院を探しておく

あらかじめ近隣で外国語に対応している病院を診療科目ごとにピックアップしておきましょう。
英語を話せる医師は少なくありませんが、窓口など施設全体で対応しておらず上手く話が進まないこともあります。
地方自治体のWEBサイトには外国人向けの病院やサポートサービスを案内していることがあるので確認するのもよいでしょう。

病院には日本人が同行する

技能実習生が初めて病院に行くときは受入れ事業所の担当者など、日本人が付き添って行くのが無難です。
病院に外国語に精通したスタッフがいても労災対象の確認など、技能実習生にとって判断できない内容もあるからです。
病院に行くときに用意するものは以下の通りです。

  • 保険証
  • 身分証明書(在留カードなど)
  • 現金またはクレジットカード

病院側がもっとも心配しているのは代金を支払うことができるかどうかです。
外国人には保険が利用できない状態であったり、支払いを拒んだりする者が一定数存在し日本人より多い傾向があります。
技能実習生の多くは雇用され、健康保険に加入しているため病院にとってリスクは低いと言えますが、それでも日本人がいれば安心感が増します。
保険証を忘れても治療を受けることはできます。
その場合、全額を支払ってから後日に差額を返金してもらうことになります。

費用は丁寧に説明する

国によって医療制度や病院の受診の仕方もさまざまです。
技能実習生に先に日本での医療費や診察の流れを説明しておきましょう。
医療費が無料という国や医療保険制度がない国もあります。
料金についても先に知らせてくれる国もあります。
日本では診察が全て終わった後、窓口で初めて金額を知らされます。
「そんなに高いの!?」と驚いた経験がある人もいるのではないでしょうか。

「勝手にやられた検査や診察だからお金は払わない」などトラブルになることもあります。
技能実習生の希望があれば、事前におおむねかかる費用を教えて貰えるか病院に相談してもよいでしょう。

診察をして貰う

技能実習生の多くは症状を上手く説明できないことに不安を覚えています。
人の健康情報はプライバシーで秘匿性の高い情報ですが、技能実習生に付き添って症状の説明を補助する必要もあります。
状況によっては監理団体や行政サービスに通訳を依頼することも考えましょう。

技能実習生が支払えないときは?

金銭面で不自由のない技能実習生は稀です。
とくに日本に来たばかりの技能実習生は支払いができない場合があります。
そこで会社側が医療費を立て替えることもありえます。

医療費は技能実習生から後日回収することになりますが、給与天引きは避けたほうが無難でしょう。
労働基準法では賃金は全額払いが原則だからです。
天引きできるのは所得税、年金保険料、健康保険料、労使協定などで定められている項目に限定されています。
判例では「労働者の合意」があれば天引きも可能とはいえ、法的に認められないリスクがあります。
天引きではなく、技能実習生から返済してもらう形が望ましいと言えます。
また、技能実習生からの疑念を持たれないよう忘れずに領収書も持ち帰りましょう。

処方せんを貰い薬局に向かう

処方せんを近くの薬局に持って行き薬などを貰うのは日本では当たり前の風景ですよね。
この薬局を保護するための規制は海外から見れば不思議な手順に見えるのです。
長期間、日本で生活することになる技能実習生は何度も病院を利用することになります。
技能実習生に付き添うだけではなく、日本の病院の仕組みを学ぶ機会にしましょう。

実習生の任意保険が使えることもある

技能実習生は「外国人技能実習生総合保険」など任意保険に加入していることがあります。
ケガや病気の治療費や入院費をカバーしてくれる補償が入っていることが一般的で、申請すれば医療費を補填することができます。
その際には領収書や診断書が求められる場合があります。

ただし、ケガ以外の歯科疾病は対象にならないなど例外もあります。
まずは加入している任意保険が利用できるか確認してみましょう。

労災の場合はどうする?

業務上や通勤中のケガや病気は労災保険を使うことができます。
労災保険は外国人でもアルバイトでも強制加入の保険です。
労災保険を使えば医療費のほとんどが無料となります。
医療費だけではなく休業した場合は一定金額の給付を受けられたり、障害についても補償の対象になったりします。
労災保険は技能実習生が母国に帰国した場合でも一部を除いて給付が続くという特徴もあります。

労災保険の手続きは技能実習生にとって複雑です。
提出書類には受入れ事業所が作成する必要があるものもあります。
手続き手順は日本人の労災と変わりませんが、技能実習生に説明が難しい場面もあります。
ケガや病気の発生時に監理団体にも連絡を入れて相談するとよいでしょう。

まとめ

うまく症状が伝えることができなかったり、病院の利用方法がわからなかったりする技能実習生は少なくありません。
ガマンしてしまい治療開始が遅れて重篤化するリスクもあります。
不安を和らげるためにも最初は日本人が同行し、丁寧に説明をするように心がけましょう。
ふれんど協同組合では病気やケガなど万が一のときにもスピーディーに技能実習生と受入れ事業所のフォローをする体制を整えています。
もし技能実習生・特定技能制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!