わたしたちが当たり前に持っている銀行口座。
お金の振込み、クレジットカードの代金支払などなくてはならないものですよね。
ですが、外国人が銀行口座を作る際は条件が付け加えられたりすることもあります。
今回は技能実習生と銀行口座について見ていきましょう。
外国人でも銀行口座は作れる
日本にやってきた技能実習生が配属され、実習を始めると賃金が発生します。
受入れ企業にとっては、給料を振込むための銀行口座が欲しいと思うでしょう。
日本人の従業員なら、会社側が本人に代わって作成することも可能です。
ですが、技能実習生ではそうはいきません。
本人に直接確認や別途書類の用意を求められることもあります。
銀行が慎重なのは口座を悪用されることを恐れているからです。
国際社会からの要請もあり、違法な取引のマネーロンダリングやテロ資金への利用を防ぐための法律に従う必要もあります。
外国人口座の売買は犯罪
犯罪者などからすると日本の銀行口座は「価値があるもの」でもあり、取引がされているとも言われています。
銀行口座の売買や譲渡を持ちかけるケースもあります。
ですが、これは立派な犯罪です。
銀行口座の売却や譲渡をしてしまうと「犯罪収益移転防止法」に違反することになります。
1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方が科せられてしまうのです。
さらに、詐欺罪として扱われる可能性もあり、その場合は懲役10年以下と重い罰を受けることになります。
銀行口座をもつメリット
技能実習生に銀行口座を作らなければいいのでは?と思う人もいるでしょう。
世界には銀行口座を持たない国民がほとんど、という国も少なくありません。
そういった国では、銀行口座を使わなくても済むシステムがあります。
日本で住むためにはやはり銀行口座が無いと不便でしょう。
各種代金を銀行口座から引き落とせますし、銀行口座を元に便利な生活サービスが提供されています。
共同生活を送ることも多い技能実習生にとって、盗難リスクを防ぐこともできるでしょう。
母国への送金サービスを利用するにも、銀行口座があれば安い手数料や手間を省く方法を選べる場合があります。
銀行口座の開設に必要なもの
技能実習生が最初に作る銀行口座は会社の指定したものが多いでしょう。
これは給料の振込手数料を抑えるためです。
日本に来たばかりの技能実習生が単独で銀行口座を作るのは現実的ではありません。
言葉や習慣の差があるからです。
ですので、受入れ企業の担当者や監理団体が間に入ることになります。
技能実習生の不安を和らげるためにも通訳が同席することも多いでしょう。
銀行口座を開設するには必要なものがあります。
①本人確認書類
パスポート、在留カード、住民票の写しなどです。
銀行側が必要と判断した場合は複数の書類を求められることもあります。
顔写真付きのもののほうが信用度は高いでしょう。
②在留期間が確認できるもの
在留期限が口座開設の申込みから3ヶ月以内である場合は開設ができません。
在留カードのように在留資格が記載されているものが必要です。
③印鑑(銀行印)
サインでも可能な銀行もありますが、日本ではほとんど押印を求められます。
あらかじめ銀行印と通常用の印鑑を2本用意することもあります。
印鑑文化は世界的には多くないので、印鑑の重要性が分からずに紛失するケースが多いからです。
銀行印の重要さをしっかりと理解してもらい、保管方法も指導しましょう。
④社員証など勤務実態が確認できる書類
何かしらの組織に所属していることを銀行は重視しています。
社員証だけではなく公的に会社に所属している書類を用意するのも良いでしょう。
社会保険加入を証明できるもの、賃金支払や出退勤を証明できるものです。
これも複数あればスムーズにいくでしょう。
手続き後には、銀行から在籍確認の電話がかかってくることもあります。
⑤その他の注意事項
銀行は、外国人の口座開設では法律・条約などを確認しなければなりません。
そのため通常よりも長い時間がかかると思いましょう。
状況によっては当日開設ができないこともあります。
技能実習生の手続きは数が多く、氏名に誤りが発生することがあります。
英語名と日本語表記を統一するように気をつけ、フルネームが長く省略する場合は、どこを表記するかを決めておきましょう。
混乱の元になるので口座開設時にも注意が必要です。
帰国するときは?
各銀行からは技能実習を終えて技能実習生に来日の予定がなくなるなら、悪用防止のためにあらかじめ口座解約しておくように求められています。
空港ターミナルなどで「売ってくれ」と言われることもあるからです。
帰国の時期が近づいてきたら銀行口座から引き落とされる取引はしないようにさせましょう。
個人で契約している携帯電話やインターネット代金など、支払時期があとから訪れるものはチェックしなければなりません。
帰国後に発覚すると受入れ企業が支払うことにもなりえます。
どうしても難しい場合は帰国後に代理人が解約できるようにしておきましょう。
早い段階で各銀行に方法を問合せしておくと安心です。
まとめ
外国人が銀行口座を作るには、犯罪防止のために身元や所属会社の確認など、日本人より入念にチェックされます。
技能実習の終了時には銀行口座を解約するために、銀行口座から引き落としがされないようにするなど注意も必要です。
銀行口座の売買や譲渡は犯罪であることを技能実習生にはしっかりと教えなければなりません。
銀行口座の開設のような「必要だけど細かい」ことは、多忙な受入れ企業の担当者の手が回らない分野でもあります。
ふれんど協同組合では組合員の皆様の負担がないように、煩わしい技能実習機構などへの手続きを行っています。
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