働く人たちの雇用を維持し改善する目的で結成される「労働組合」。
今、日本人だけではなく外国人労働者・技能実習生の中でも労働組合を結成しようという動きが出ています。
では、労働組合とはどんなものなのでしょうか?
労働組合とは?
労働組合とは、労働者の権利や労働条件の改善を目指すために結成される団体です。
日本では「春闘」など賃上げを要求するイメージが強いのではないでしょうか?
労働者は労働組合に加入することで団結し、組合を通じて労働条件の交渉や福利厚生の向上などを求めることができます。
労働組合はいわば労働者の代表です。
労働条件や賃金、労働時間、労働環境の改善を求めるために雇用者(会社など)と交渉する役割を果たします。
また、法的な権利の保護や労働者の教育・訓練、労働に関する情報提供なども行います。
このように、労働組合は労働者の権利と改善を追求するための重要な存在なのです。
労働者が労働組合に参加することで、より公正な労働環境や福利厚生の向上を図ることができるでしょう。
日本人だけでなく日本に働きに来ている外国人技能実習生も労働組合の組合員になることができます。
技能実習生向けの労働組合はあるの?
労働者の権利などを守るための労働組合ですが、技能実習生など日本で働く外国人に特化した労働組合はあるのでしょうか?
最近の例を見ていきましょう。
①ベトナム人技能実習生による労働組合の発足
2022年12月、在日本のベトナム人技能実習生とベトナム人留学生20名ほどが、労働組合を結成しました。
日本語が話せず孤立してしまいがちな同胞を支援するために、情報を発信したりトラブル解決の手助けをしたりすることが目的です。
このような外国人だけで組織された労働組合は珍しく、自主性がある一方で日本人による支援の薄さや理解度の低さを物語ってしまっているのではないでしょうか。
【参照】
https://www.viet-jo.com/news/social/221223125903.html
▲ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]より
②監理団体による労働組合の発足
2023年6月に、技能実習生の受け入れを監督する「監理団体」による労働組合が結成されました。
監理団体とは、海外にある技能実習生の送り出し機関と国内の受け入れ企業をつなぎ、技能実習生を受け入れる企業を監督するための団体のこと。
管理団体が主導となって労働組合を発足させることは全国でも珍しいケースです。
技能実習生だけでは解決できないような問題に切り込むことができるのでより安心度が高まります。
【参照】
https://www.tokyo-np.co.jp/article/257684
▲東京新聞(Tokyo Web)より
技能実習生と労働組合の問題点
このように技能実習生を守る為の労働組合ですが、受け入れ企業にとっては「ちょっとのことで労働問題にされてしまう」という懸念もあります。
正当な指導でも、「パワハラだ」と訴えられてしまえば企業の責任問題にもなってしまいかねないです。
このことから、労働組合に加入することを「やめてほしい」と思っている企業も少なくないでしょう。
実際、労働組合に加入して労働問題を解決しようとした実習生に対して「労働組合を脱退すること」を求めたという事例もあり、裁判になっています。
日本では「団結権」が認められているので、組合に加入しないでほしいと求めることは難しいでしょう。
労働問題にならないためにできること
技能実習生にとっては「何かあった時の保険」という位置づけの労働組合ですが、そもそも労働問題に発展しないようにするために私たち日本人ができることは何でしょうか?
大きく3つにわけてみました。
1.普段からコミュニケーションをとり、一人の人間として尊厳をもって接する
2.実習生の国のことを知り、文化の違いを受け入れる
3.守らなくてはいけないことや安全にかかわることは徹底的に教え込む
技能実習生は、技能を学びに単身日本に来ています。
知らない土地で不安もある中、母国に無い習慣や法律に戸惑うことは想像に難くないでしょう。
文化の違いを受け入れ、一人の人間として向き合い、やってはいけないことや法律はきちんと指導する。
日頃のコミュニケーションが前提となりますので、技能実習生を受け入れている企業様は今日から実践してみましょう。
まとめ
日本人にはなじみのある「労働組合」は、外国人技能実習生でも加入することができます。
技能実習生に特化した労働組合もあり、働く環境に不満や不信感をもっている実習生も少なくありません。
日頃のコミュニケーションを大切にし、一人の人間として指導・教育をすることが求められるのではないでしょうか。
ふれんど協同組合では技能実習生の労働問題が起こらないよう、受け入れ企業と実習生の架け橋となりサポートしています。
もし技能実習生・特定技能制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!