外国人技能実習制度を利用して人材を受け入れようとする企業様は、施行規則として技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任しなければなりません。
この3つは、技能実習の管理・運営を円滑に進めるためであったり、技能実習生の技術の向上や、日本での生活に困らないよう相談にのったりする重要なポジションです。
ここでは、責任者や指導員になるための要件や、具体的にどういうことをするのかをまとめてみました。
技能実習責任者
受け入れ企業は事業所ごとに選任しなければいけません。
技能実習責任者の役割
技能実習の進捗状況を管理や、他の技能実習指導員や生活指導員などの技能実習に関する社員を監督する役割を持っています。
また、次の事項について管理・統括することも求められます。
- 技能実習生の受入れの準備
- 技能実習計画の作成
- 技能実習生が修得等をした技能等の評価
- 帳簿書類の作成・保管、実施状況報告書の作成
- 監理団体(ふれんど協同組合など)との連絡調整
- 法務大臣及び厚生労働大臣若しくは機構又は監理団体に対する届出、報告、通知その他の手続
- 技能実習生の保護
- 技能実習生の労働条件、産業安全及び労働衛生
- 国及び地方公共団体の関係機関、機構その他関係機関との連絡調整
監理団体による監査の際に立ち会うなど、企業における技能実習制度の運用に大きくかかわってきますので、適切な人選が必要となるでしょう。
技能実習責任者になれる人
次の要件を満たした人が、技能実習責任者になることができます。
- 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員である者
- 自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を 監督することができる立場にある者
- 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習(第8章の主務大臣が告示した養成講習機関が実施する講習)を修了した者
つまり、
①受け入れ企業の社長・役員もしくは雇用されている社員であり、
②他の指導員を監督する能力があり、
③過去3年以内に「技能実習責任者に対する講習」を受けて修了している人
が「技能実習責任者」になれるのです。
技能実習指導員
受け入れ企業は事業所ごとに1名以上選任しなければいけません。
技能実習指導員の役割
技能実習生に技能実習(仕事)を直接教える役目が、技能実習指導員です。
技能や技術が十分に習得できているか、実習計画書どおりに進んでいるかを現場目線で指導します。
中でも、特にしっかりと指導する必要がある点は「安全衛生」に関して、です。
重大な労災につながることもあるので、やってはいけないことや注意しなければいけないことを技能実習生に理解させることが大切です。
技能実習指導員になれる人
次の要件を満たした人が、技能実習指導員になることができます。
- 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者
- 修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有する者
必ず受け入れ企業に所属し勤務している人でなければいけませんので、どんなに熟練の作業員であっても、協力会社や下請け業者の社員は技能実習指導員にはなれません。
また、講習などは必須ではありませんが、修了していると優良な実習実施者の要件の加点要素となります。
生活指導員
受け入れ企業は事業所ごとに1名以上選任しなければいけません。
生活指導員の役割
技能実習生に日本で生活する上での留意点を指導したり、相談に乗ったりします。
仕事上だけではなく、普段の生活状況を把握することで問題を未然に防ぐことができます。
地元のお祭りやお花見に連れて行ったりして日本の文化に触れさせるのもよいでしょう。
とはいえ、一人の指導員が実習生の生活のすべてを把握し指導することは大変です。
そのため多くの企業では複数人の生活指導員を配置し、分担して生活指導を行うのが実情でしょう。
生活指導員になれる人
次の要件を満たした人が、生活指導員になることができます。
- 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者
技能実習指導員とおなじく講習などは必須ではありませんが、修了していると優良な実習実施者の要件の加点要素となります。
欠格事由
上記の要件を満たしていても、次の欠格事由に当てはまる人は技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員になることができません。
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5 年を経過していない人
- 過去5 年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当な行為をした人
- 未成年者
兼任について
技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員は、おのおのに求められている要件を満たしていればすべてを兼任することも可能です。
しかし、技能実習に関する業務のみを行うのなら良いですが、通常の業務に加えて3つの役割もプラス…ということになると、すべての責任と労力がかかってしまい技能実習の運用に支障が出るかもしれません。
できれば、技能実習責任者を1名、技能実習指導員と生活指導員を兼務で1名など業務を分散すると負担の軽減にもなり、実習生に目が配りやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、「技能実習責任者」・「技能実習指導員」・「生活指導員」の役割について解説致しました。
技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の3つの役割は、技能実習生が日本で安全に技能を習得するために重要なポジションです。
それぞれ任命する人へ、外国人技能実習制度とはどういう趣旨なのか、責任者・指導員として何をするべきなのかをしっかりと指導することが非常に大切になります。
お困りのことがございましたら、当組合までご相談くださいね!^^