防ぎたい!!技能実習生の【労働災害】事前に防ぐ方法とは?

2022年3月19日   ブログ

労働災害とは業務・通勤が原因で、ケガや病気になってしまうことです。

技能実習生が災害に遭わないようにするには、どうしたらよいのでしょうか?

また、起きてしまったときの対応について学んでいきましょう。

 

 

技能実習生の労災は多い

高度経済成長時代の日本では、死亡事故も多く社会問題となっていました。
法規制や企業努力により、労働災害の発生数は大きく減少し、近年では横ばいで推移しています。
一方で、日本で働く外国人労働者全体の労災数は右肩上がりです。

技能実習生に限ってみるとどうでしょうか。
労働力調査によると、技能実習生の労災事故の事故は、日本人全体と比べると約2倍と見られています。
技能実習生は労災被害に遭いやすい環境で働いていると考えられます。

 

 

どんな労災が多いのか?

技能実習生の労災事故で多い業種は製造業と建設業です。
事例では転落、挟まれ、巻き込まれ、切断などが目立ちます。

しかし、防護柵の設置が不十分など会社側に過失はある例もあるとはいえ「悪意がある」とまではいえません。
また、作業者単位で見ても基本的な手順が守られていない事故がほとんどです。

 

 

労災を防ぐためには?

技能実習生は現場に近い業務に携わることが多いことが、労災発生数が増える原因とみられています。
一方で、技能実習生に適切な教育がされていない、注意喚起が上手くされていないことが、発生率を上げています。

労災の発生を防ぐためには安全講習、機器の取り扱い、危険予知トレーニングを行う必要があります。
しかし、安全に関する会社の取り組みは従業員にとっては「めんどくさいもの」と思われがちです。
日本人であっても変わりませんが、言葉と文化の壁がある技能実習生には深刻な災害に繋がりやすいのです。

 

 

言葉の壁を下げるには?

見て覚える、間違ったら怒るという方法はまったく効果がありません。
座学とOJTを混ぜながら教えましょう。
安全教育にはテキストを使うことが多いですが、母国語と日本語が併記されている教材を導入しましょう。

日本人も同じものを使えば、技能実習生の母国語を理解するきっかけにもなります。
テキストや資料を手渡しして終わりにしてしまうのではなく、どこがポイントなのかを教えなければなりません。

既に技能実習生を受入れている会社では、技能実習生「わかった」「大丈夫」と言っていながらも理解していなかった…という経験があるのではないでしょうか。
できるはず、わかるはずと思わず、しつこいくらい理解度を確認する必要があります。

中小企業ではどんな教材を用意すれば良いのか悩んでしまうと思いますが、厚生労働省などから多くの言語から資料が配布されています。
言語に対応したYouTubeなどのサービスを利用して、学ぶこともよいでしょう。

 

 

災害が起きにくい環境づくり

会社が「防止処置」を取らなかったことで、労働安全衛生法違反で書類送検される例が多くあります。
安全装置の設置、防護柵、安全帯などコストや時間は掛かりますが、やるだけでリスクを多く防ぐことができます。

しかし、技能実習生は思いがけない行動を取ることもあります。
そこで「見るだけで分かる」ようにするのが有効です。
よくある立入禁止看板など、絵と文字を組み合わせて、注意を促すのです。
安全教育理解度や日本語力が低くても、わかりやすいものを選ぶのがポイントです。

ケガだけではなく、近年の労災は「メンタル」も重視しています。
母国から1人で来日し生活する技能実習生は心が不安定になりがちです。
注意散漫になりケガにもつながってしまうことも。
会社全体で交流するなど、積極的にフォローするようにしましょう。

 

 

労災隠しはダメ

労災が起きてしまったときには、病院で治療を行いましょう。
労災指定病院でなくても、労災手続きや費用請求はすることができます。
病院窓口で「お仕事でのケガですか?」と聞かれることもあります。

労災では医療費は無料の扱いですので、技能実習生にとってはとてもありがたいでしょう。
もし病院窓口で労災と伝えなくても、後日処理も可能です。

事業主や会社が技能実習生の医療費を善意で負担したとしても、報告義務は無くなりません。
結果的には労災隠しと判断されてしまいます。
労災を隠しは犯罪で、50万円以下の罰金と定められています。

 

 

起きたらどんな届け出が必要なのか

技能実習生は事故後、4日以上治療のために労働ができない場合は休業給付も受けることができます。
技能実習が一時中断の扱いになるなど、手続きも必要となるため監理団体へ連絡をしましょう。

休業期間が4日以上なら労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を、可能な限り早く出さなければなりません。
3日以下でも3ヶ月ごとにまとめて提出が必要です。
報告を怠ると意図的に労災隠しをしたと判断されることもあるので注意しましょう。

 

 

まとめ

技能実習生が就く業務は危険作業を含むものも少なくありません。
労働災害を防ぐためには、しっかりとした教育や環境づくりが欠かせません。

ですが、言葉や文化の差がハードにもなってきます。
母国語で書かれている資料や、見て直感的に分かる表示を整備することが大切です。
もし労災が起きてしまったときは法に則って処理をし、技能実習生の業務復帰の支援をしましょう。