技能実習と特定技能は別の目的で作られた制度です。
たくさんの点で違いがある一方で、技能実習から特定技能への移行するパターンのように関連性もあります。
そのため、どのような違いがあるか分かりにくいと感じる人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は事務処理の面から見た2つの違いを見ていきましょう。
技能実習と特定技能の違いとは?
技能実習とは、日本の受入れ企業での実習を通じ技能や知識を身につけ、発展途上地域である母国の発展に繋げるためのものです。
海外へ日本の技術やノウハウを広げるためのもので、労働力を確保するための制度ではありません。
一方、特定技能は人手不足の対策のための制度です。
働くことができる業種は限定されており、肉体労働的な仕事が中心となっています。
「即戦力」となる外国人が対象なので、技能や知識はもちろん、日本語もある程度習得していることが前提とされています。
日常業務での違いとは?
技能実習生の場合
毎日記入が必要なものは「技能実習日誌」です。
記入するのは実際に指導する人で、職長など現場責任者にあたる場合が多いでしょう。
その日、どのような実習を行ったのかを記録します。
実習の進捗状況を把握する上で重要な記録なのです。
特定技能の場合
即戦力である特定技能では毎日記録する必要はありません。
一般的な従業員と同じく出退勤の記録など、自社で定めた処理を行いましょう。
数ヶ月ごと・毎年発生する業務とは?
技能実習生の場合
技能実習では適切に実習が行われているかどうか、監理団体が3ヶ月に1回チェックしています。
監理団体から技能実習生へのヒアリングや実習場所の環境確認も実施されています。
受入れ企業は下記の書類を用意しなければなりません。
どれも日常記録しているものなので、大きな負担にはならないでしょう。
- 技能実習日誌
- 賃金台帳
- タイムカードや出勤簿
また、1年に1回提出するものもとしては「実施状況報告書」があります。
在籍する技能実習生の人数、平均の賃金や労働時間、居住費などを記載します。
技能実習生が複数人いる場合は勤怠データなどを整理する必要があるので、ある程度作成には時間がかかるでしょう。
特定技能の場合
特定技能は1号と2号に分かれています。
1号特定技能外国人には支援計画を立て、3ヶ月に1回は支援責任者か支援担当者による面談を実施しなければなりません。
面談では健康状態、労働環境の状態などの確認を行います。
面談後には出入国在留管理庁に対して下記の書類の提出も必要です。
ただし、登録支援機関にすべて作成と提出を委託することもできます。
- 受入れ状況に係る届出書
- 支援実施状況に係る届出書
- 活動状況に係る届出書
- 特定技能外国人に対する報酬の支払状況
- その他添付資料
在留ビザの更新での違いとは?
技能実習生の場合
技能実習では技能実習1号、2号、3号と在留資格が分かれています。
在留ビザを変更するための手続きに必要な書類は以下のようなものがあります。
- 在留資格変更許可申請書
- 技能実習計画認定通知書の写し
- 技能実習計画認定申請書の写し
- 住民税の課税証明書・納税証明書
- 申請者のパスポート・在留カード
- 証明写真(4cm×3cm)1枚
- 返信用封筒(切手も貼付)
注意しなければならないのは技能実習計画です。
変更の手続きをするためにはあらかじめ外国人技能実習機構に計画を認定して貰う必要があるからです。
スケジュールが噛み合わずに、手続きが間に合わなかったということがないように、早め早めに対応しなければなりません。
特定技能の場合
特定技能の在留ビザの更新頻度は人によって異なります。
4ヶ月、6ヶ月、1年の3種類に分かれており、在留カードに在留期間が記載されています。
更新は原則3ヶ月前から可能で、技能実習と同じように早め早めの準備をしましょう。
在留期間までに許可が下りなくても、申請ができていれば一定期間は在留が認められます。
また、在留ビザの更新には以下の書類が代表的なものです。
企業の業務内容などによって用意する書類が異なることもあります。
また、特定技能外国人が準備するもの、企業側が用意するものが混在しています。
- 在留期間更新許可申請書
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 雇用契約書の写し
- 企業に関する資料(概要書・登記事項証明書・役員の住民票の写しなど)
- 賃金支払いや労働保険料の申告書に関する書類の写し
- 各種誓約書
- 営業許可証
- 分野の協議会の構成員である証明書
- 住民税の課税証明書・納税証明書
- 申請者のパスポート・在留カード
- 証明写真(4cm×3cm)1枚
申請は特定技能外国人本人が行いますが、行政書士等も取り次ぎを行うことができます。
試験での違いとは?
技能実習生の場合
特定技能1号から2号、2号から3号に移行するためには、試験に合格する必要があります。
試験は業種・職種によって細かく分かれていれ、学科試験と実地試験によって行われます。
試験の難易度は業種・職種によって異なりますが、十分に事前対策をしなければ合格できないものも少なくはありません。
試験の申込みや試験会場への送迎だけでなく、試験対策をする必要もあるでしょう。
特定技能の場合
即戦力であることが求められるのが特定技能です。
技能と日本語力を証明するか「特定技能評価試験」に合格するか、技能実習2号を良好な状態で修了している必要があります。
ただし、特定技能外国人として採用前に行われるものなので企業としては影響がありません。
まとめ
技能を習得し母国で活かすことを目的とする技能実習と、即戦力の労働力として期待される特定技能。
制度の違いは企業の業務でも大きな差が生まれています。
技能実習は細かいフォローが目立ちますよね。
2つのイメージの違いが分かれば、書類なども準備しやすくなるのではないでしょうか。
ふれんど共同組合では介護や製造分野などを中心に、技能実習・特定技能の両方についてご相談・対応をしています。
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