高齢者を狙った振込み詐欺や30~40代を狙った投資ビジネスなど、世間には巧妙な手口による犯罪がたくさんあります。
詐欺などの犯罪の特徴は「特定のターゲット」を設定して狙ってくる点にあり、いつ誰が狙われても不思議ではありません。
もちろん、技能実習生もターゲットの1つ。
今回は、技能実習生を狙った犯罪について学んでいきましょう。
若い技能実習生は要注意!
技能実習生は犯罪に狙われる条件が揃いやすいと言えます。
技能実習生は20代前半が約41%、20代後半が約24%と世代が圧倒的です。
日本人も20代は若ければ若いほど、行動力や好奇心が高いですが、社会知識は十分ではありません。
これは技能実習生も同じことが言えます。
技能実習生の多くは貯金や母国の仕送りをしており、経済的に恵まれていることは少ないでしょう。
しかも、技能実習生の母国と比べれば日本は娯楽に満ちていて、目の前の楽しみにも流されてしまいがちです。
「手っ取り早くお金が欲しい」と思うのは自然なことなのではないでしょうか。
そんな技能実習生に、犯罪者はスマホを通して狙ってきます。
日本の「当たり前」を分かっていない技能実習生は、日本人なら絶対にやらないようなことに手を出してしまうことがあります。
しかも、在留資格などにより行動に制限がある技能実習生の足元を見たような手口も少なくありません。
SNSをきっかけに騙されやすい
TwitterやFacebookなど数々のSNSが利用されています。
コミュニケーションだけでなく、モノの売買などの機能も日々充実し、技能実習生にとっては手放せないツールとなっています。
その分、犯罪の入口となってしまっている側面があるのです。
個人情報を利用される事例
私たち日本人が海外旅行に行ったときにスマホがないと身動きが取れなくなってしまいますよね。
交通機関の利用方法、目的までのナビ、オススメのお店、宿の予約などスマホがあれば簡単に調べることができます。
日本で生活する技能実習生にとってもスマホは必需品です。
コストパフォーマンスの高いスマホや、使い放題で格安のSIMカードは魅力的なアイテム。
SNSで取扱っているのを見かけて申し込むと「購入には本人確認のため、在留カードの写真が必要です」と表示されたので早速送信しました。
しかし、後日送られてきたのは身に覚えのない請求書。個人情報を利用されてしまい、技能実習生名義のSIMカードが大量に契約されて、不特定多数に販売されてしまう…なんてこともあります。
アルバイトを紹介する詐欺
技能実習生は在留資格に制限があり、受入れ企業以外で働くことはできません。
その事情を狙って、現金手渡しでバレない!高時給!などとバイトを持ちかけられることもあります。
SNSなどで相手に連絡を取ると「紹介手数料がかかる」「制服や道具の購入費がかかる」など言われ、お金を支払うと連絡が取れなくなってしまうケースもあります。
格安での換金を装った詐欺
日本で働いている技能実習生の給料は「日本円」で支払われます。
母国の家族などに定期的に仕送りしている技能実習生がほとんどでしょう。
そこで問題となるのが換金手数料です。
日本円から母国通貨にするために発生する手数料は、母国の価値に換算すると決して安くはありません。
そこで、一般的な手数料より有利な条件で換金や送金ができると近寄ってくる人がいます。
その中には、技能実習生から日本円を騙し取って消えてしまう人もいるのです。
業者としてない人や会社が送金するのは法律でも違反とされています。
ギャンブルという落とし穴も!
身近なギャンブルと言えばパチンコ、競馬、競輪が思い浮かぶのではないでしょうか。
公営のものや法規制されたものを除き、賭博行為はすべて犯罪とされています。
それでもお金を簡単に手に入れたいと思った時に、一攫千金を狙ってギャンブルに走る人もいます。
合法的なギャンブルは稼ぎにくいことから、仲間同士が集まって賭けを行うこともあります。
そこで、一攫千金どころか何十万円という借金を背負ってしまうのです。
新型コロナウイルス流行時のように、今までしっかり働いていたような技能実習生でも、急に収入が減ってしまうとギャンブルに巻き込まれやすくなります。
技能実習生が犯罪に利用される!?
銀行口座の売買
外国人が銀行口座を開設することは簡単ではなく、会社に勤務しているかなどお墨付きが求められることが多くあります。
外国人にとって貴重な存在である日本の銀行口座は売買の対象にもなっており、詐欺などの犯罪に悪用されることもあります。
技能実習生には手軽にできるアルバイトとして通帳やキャッシュカードを売るよう勧誘される場合があります。
もちろん、口座の売買は詐欺罪や犯罪防止法などとして摘発されます。
さらに今後、口座を開設できず生活に支障が出るケースもあります。
お金の引き出し役
お小遣いや簡単なアルバイトとして、インターネットバンキングでの不正送金やオンラインショッピング詐欺の被害金のやり取り行ってしまい、犯罪に加担してしまうケースです。
- 自分の口座に振り込まれたお金を他人の口座に入金する
- ATMで他人名義の口座から現金を引き出す
似たケースでは「不正配送」もあります。
自宅に配送されてきた荷物を転送するもので、不正アクセスや詐欺の被害品を送る手助けとなってしまいます。
携帯電話の売却
携帯電話を高値で買い取るという儲け話です。
SIMなど通信契約もセットで販売してしまうと、詐欺などの犯罪に悪用される可能性があります。
携帯電話不正利用防止法にも違反し、状況によっては犯罪者として逮捕の対象にもなります。
格安食品の購入
SNSで安く売っている肉や野菜を購入するケースです。
畜産場や農場などから盗まれた牛や豚、野菜の可能性があり、購入しても直ちに犯罪となるわけではありません。
犯罪者に加担することになったり、警察から疑われたりする可能性があります。
技能実習生を犯罪から守るには?
日本の法律や事例を教える
日本では公営ギャンブルはありますが、それ以外は禁止されていることなど、外国人からすれば分かりにくいものもあります。
日本の法律やルールの基本をしっかりと教える必要があります。
銀行口座の売買などの具体的な事例を教えることで犯罪に加担したり、巻き込まれたりしないようにしましょう。
技能実習生を狙った手口も高度化しているので、新しい情報を伝えて自分で「おかしい」と気づけるようにする必要があります。
SNSに注意する
技能実習生からFacebookを通じて「友達になりましょう」と誘われることもあるでしょう。
友達になると技能実習生の投稿内容も見ることもできます。
技能実習生との距離を埋めるツールにもなります。
SNSを通じて、プライバシー侵害にならない範囲で技能実習生の交流相手や活動をチェックすることもトラブル防止に繋がります。
相談しやすい環境を作ること
技能実習生と定期的に面談を行っている受入れ企業は多いでしょう。
業務に関わることだけではなく、プライベートのことも聞くようにしましょう。
「母国の親が病気で治療費を同僚や友人から借りているが返済できる見込みがない」など、話を聞くことでトラブルの芽を未然に発見できます。
ただし、金銭に関わる面は技能実習生が我慢や遠慮して話してくれないこともあります。
何でも気軽に話せる環境作りが大切です。
「知らなかった」では済まされないと教える
技能実習生の犯罪は受入れ企業や監理団体もどうすることもできません。
「アルバイト」として何も知らされずに犯罪に加担したとしても、処罰される可能性はあります。
SNSだけではなく、友人などからも誘われることあります。
自分がしたことがどんな問題となるのかを教えて、安易な判断をさせないようにしましょう。
大型連休中は狙われやすい!
お盆や年末年始など長期休暇は受入れ企業の目も届きにくく、技能実習生たちの心もゆるみがちです。
普段の生活サイクルが変わることから交通事故、火災、盗難などのトラブルだけでなく、技能実習生を狙った犯罪も遭遇しやすくなります。
連休前には注意を促すことをルール化するようにしましょう。
まとめ
母国に仕送りをしながら実習を続ける技能実習生。
しかし、若くて好奇心がある彼らにとって日本は誘惑が多いと言えるでしょう。
お小遣い稼ぎのつもりが大きな犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
定期的に「こういう犯罪が増えているよ」という情報を共有し、相談しやすい環境を整えることが被害を防ぐためには大切です。
ふれんど共同組合では被害防止や取組みのアドバイスなども積極的に行っています。
もし技能実習生・特定技能制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!