技能実習生は技能を身につけるために日本に働きにきています。
企業に配属された技能実習生に、企業は仕事を教えなければなりませんよね。
ですが、日本人に教えるのとは全く違います。
そこで今回は、技能実習生への指導の仕方について学んでいきましょう。
新人社員であり外国人である
日本人の若い新入社員を教育するのは大変ですよね。
新卒であれば「社会人とは何か」といったことから指導が始めるのではないでしょうか。
その後、会社の共通ルールや安全規則へと進めていくでしょう。
個人差はあっても日本文化で成長してきたなら、指導側は大きく困ることはありません。
ジェネレーションギャップに戸惑ったという笑い話をするぐらいでしょう。
ですが、技能実習生は「外国人」であるという点が多くのギャップを広げてしまいます。
また、ほとんどの技能実習生にとって未経験の業務という面も、指導を難しくさせる要因となっています。
技能実習生の多くは「真面目」ですが、その「真面目」の意味すら日本人が想像するものと違うことがあるのです。
心構えは「イライラしない」
初めて技能実習生を迎え入れると、おそらく「イライラ」するのではないでしょうか。
こう言えば通じるだろうと思ったことが、イマイチ伝わらないからです。
それは単純に言葉がうまく通じないからではありません。
お互いの「当たり前」に差があるからです。
決して彼らが不真面目だからではありません。
例えば「10分休憩をしよう」という場面です。
日本人は10分後に作業を開始できるように動きます。
ですが、技能実習生は10分しっかり休んでから、動き始めることが多いでしょう。
出勤をするかしないかにも差が生まれてきます。
「無断欠勤はしないように」というのは当たり前のことです。
日本人であれば出勤日に行けないなら、理由は何であれ連絡を会社にしますよね。
技能実習生によっては「雨が降っていれば、当然仕事にはいかないものだ」と考えて、無断欠勤となることもあります。
少なくとも遅れてくることは多いでしょう。
これは不真面目さではなく、自然にそう思っただけなのです。
しかし、単純に習慣・価値観に根ざしたものは学ぶことができます。
時間はかかるかもしれませんが、粘り強く教えることが大切です。
安全は「イメージさせる」のが大切
高度経済成長期には東京タワー建設でも安全帯はもちろん、ヘルメットもしないのが自然な風景でした。
ですが、現代の先進国では業務中の「安全」への配慮はとてもされています。
カッターの使い方にもマニュアルがあり、防護手袋着用義務や刃の長さ規制がされることもあります。
安全教育は日本人相手でも軽視や定着しない従業員はいます。
ですが、技能実習生はさらに思いがけない行動をすることがあります。
免許がないと使用してはいけない車両に乗る、安全装置を解除してしまうなどです。
一歩間違えば、重大事故に認定されてしまいます。
技能実習生に安全意識を植え付けるには、行動の結果に何が起きるかを具体的に教えることです。
危ないからダメと言っても伝わりません。
例えば「安全装置を解除した結果、腕が無くなってしまったら、入院をすることになる。仕事もできなくなるし、家族も悲しむだろう。会社もペナルティを受けて、誰かが捕まるかもしれない。会社が営業停止になれば仲間も困る」と広げていくのです。
作業面での指導の注意点は?
技能実習生が具体的にどのような仕事をするかは、あらかじめ実習計画を策定することで決まっています。
作業標準書やマニュアルなどが作成されていれば、それをベースにすることになるのではないでしょうか。
指導で困ることは理解していなくても「わかりました」と返事してくることが多い点です。
分からないことはあるかと聞いても「大丈夫、大丈夫」と言いがちです。
もちろん、日本人でも同じことは起きます。
ですが、安全や品質のためにも理解し、習得しているかをより注意をしましょう。
技能テストを都度実施するのも効果的です。
教えるときには、正しい手順を見せて、学ばせなければなりません。
技能実習生が配属されるという機会で、日本人の従業員全員が正しく行っているか確認するのもオススメです。
なぜなら、技能実習生は周りの影響を強く受けます。
もし、工程を省略してラクをしようとする技能実習生が、正しく仕事をしない日本人を見つけたら真似をしてしまうでしょう。
ハラスメントは厳禁
指導において暴力を振るう人は現代では、滅多に見かけないでしょう。
ハラスメントを超えて犯罪だからです。
代わりに直接的ではない「嫌がらせ」が増えています。
その状況は危険が潜んでいます。
技能実習生は社会的立場、言葉、経済的にも不利な面が多いからです。
これは技能実習生を直接指導する担当や周りの従業員が「看守」、技能実習生が「囚人」という構図になることがあります。
この状況では技能実習生に対して、攻撃的な態度をとる心理が働きやすいのです。
「あの人がするわけがない」と思えても、歪な関係下では十分ありえると言われています。
企業としては気づきにくい面もありますが、取り締まらなければなりません。
そうでないと、ある日突然、訴訟されることもありえます。
技能実習生の担当者だけに任せず、他の部署を入れて定期的なヒアリングなどを行って未然に防止しましょう。
そして、看守・囚人の心理になりやすいことを、研修など通じて学ぶ機会を設けるのも大切です。
まとめ
技能実習生は新人であり外国人です。
文化や慣習が違うため伝わらないことにヤキモキすることも多いでしょう。
ですが、「なぜ」を深く掘り下げて、教え続ければ改善されていきます。
指導は技能実習生だけを問題にするのではなく、それ以外の従業員がどうかも重要となってきます。
指導側としては難しい課題が多いですよね。
ですが、会社全体の成長の機会だと捉えて取り組むことが大切です。