受入れている技能実習生から「他でアルバイトをしたい」と相談をされたり、アルバイトをしているのを見かけたりしたとき
どう対応すればよいでしょうか?
技能実習生には独特のルールがたくさんあります。
アルバイトではどう決められているか確認しましょう。
技能実習生はアルバイトができない
技能実習制度は発展途上地域の人材に日本の技術を教えて、母国発展の役に立てて欲しいという目的から生まれました。
ですので、人手不足に対応した労働力確保としては禁じられています。
また、技能実習が適正に行われるように、監理団体や外国人技能実習機構によるチェック制度も設けられています。
技能実習生に転職という考えがないことからも「実習」であることがわかります。
研修生という立場であり、実習という目的のためにもアルバイトは禁止されているのです。
また、実習先から給料が支払われているという点でも、生活をするには困らないであろうと考えられています。
資格外活動許可に含まれない
働くことが禁止されている在留資格であっても、「資格外活動許可」によってアルバイトができるものもあります。
留学と家族滞在
パチンコ店や風俗営業では働くことはできませんが、週28時間以内であればアルバイトが可能です。
留学生は長期休暇の期間、週40時間に拡大されます。
家族滞在は就労ビザで滞在している人の扶養を受けている家族が付与される資格です。
長期休暇は無いので就労時間の拡大はされません。
技術・人文知識・国際業務など
エンジニア、企画・営業・経理などの事務職、通訳、翻訳、デザイナー、英会話教師などもアルバイトが可能です。
ほとんどが正社員として働いているケースが多いので副業が想定されます。
しかし、資格外活動許可に技能実習は含まれておらず、アルバイトはできません。
アルバイトは「不法就労」
技能実習生の職場もさまざまです。
残業や夜勤などが定期的にある職場なら十分なお金が稼げますが、きっちりと定時ということもあります。
もっと稼ぎたいと感じる技能実習生にとってアルバイトの誘惑がつきまとうことでしょう。
では、技能実習生がアルバイトをするとどうなるのでしょうか。
結論としては、最悪の場合は「帰国」となってしまいます。
しかも、それだけでは終わりではなく、刑罰もありえます。
「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金,またはそれらの両方」
悪質な場合は
「3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金,またはそれらの両方」
また、アルバイトをさせた側も「3年以下の懲役又は300万円以下」の罰金に処せられます。
これは刑罰として決して軽いとは言えません。
もし技能実習生を受入れている企業が、アルバイトをさせてしまった場合は、さらにダメージは大きくなります。
新規の技能実習生の受入れを3年間できなくなるからです。
その後、受入れを再開する際も審査はより厳しいものになることが予想されます。
技能実習生と受入れ企業だけなく、監理団体も責任を問われる場合があるのも覚えておきましょう。
技能実習生をアルバイトとして雇ってはダメ
不法就労の取締りは厳しく強制帰国など、容赦のない処分がされることも少なくありません。
企業としては外国人を雇うときには在留資格の確認が求められます。
在留資格は在留カードで確認可能です。
ただし、在留カードを偽造するケースもありえます。
提示された在留カードが条件を満たしているというだけで安心しないようにしましょう。
そこで面接の場面では突っ込んだ質問をする必要が出てきます。
なぜ応募したのか、住んでいる場所、いまはどんな環境など、厚生労働省の面接ガイドラインに触れない範囲で聞いていきましょう。
辻褄が合わないと思ったら「〇〇なのだろう」と片付けずに納得が行くまで聞くのが大切です。
言葉の壁もあるからと妥協をしないようにしなければなりません。
技能実習生を受け入れている同じ会社内でも、アルバイトは禁止されているので注意が必要です。
別の仕事をさせてもっと稼がせてあげようという善意が、取り返しのつかないことになりかねません。
アルバイトをするリスクを教える
すでに技能実習生を受入れているようなら、アルバイトをする「リスク」を具体的に伝えましょう。
技能実習生の出身国では法律の取締りが緩やかな地域もあります。
アルバイトはダメだと言われても軽はずみな気持ちで、母国のネットワークを通じて始めてしまう場合があります。
日本は取締りも厳しい社会で「自分だけの問題ではない」ということを、定期的に伝えるようにしましょう。
まとめ
技能実習生はアルバイトできません。
在留資格によってはできるケースもありますが、技能実習生には特例はありません。
技能実習の目的である技能をしっかり身につけて欲しいということでもあります。
もし技能実習生がアルバイトをしてしまったり、技能実習生にアルバイトさせてしまったりすると、大きなペナルティが課せられてしまいます。
技能実習生を受入れているとたくさんの疑問が湧いてきます。
日本人では大丈夫でも、技能実習生ではNGというものは多く、知らずに違反してしまうこともありえます。
ふれんど協同組合では技能実習制度の「落とし穴」への対応や、疑問にも丁寧にお答えします。
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