外国人技能実習生が日本で働くには、在留資格や在留期間が記載された在留カードが必要です。
今回はこの在留カードについて解説していきます。
在留カードとは
在留カードは日本に中長期滞在する外国人に交付される身分証です。
中長期と書きましたが、観光目的などの3ヶ月以下の滞在者には交付されません。
在留カードには在留資格が記載されており、この資格によって、日本に在留できる期間、行うことができる活動が決められています。
外国人技能実習生の在留資格は「技能実習」となります。
なお、在留資格と混同されやすいものとして、ビザがあります。
ビザは入国時に必要な書類で、日本へ来ようとしている外国人の母国の日本大使館・領事館が発行します。
内容としては、日本へ渡航しようとしている人物に対し、「この人物は日本に入国しても問題ない人物です」というお墨付きを与える証明書となります。
一方、在留資格は入国後の在留や活動の根拠となるもので、入国後に入国管理局が許可するものです。
ビザは入国のためのもの、在留資格は入国後の滞在や活動のためのものと覚えておきましょう。
ですから、ニュースなどで「留学ビザから就労ビザに切り替える」といった表現を聞くことがあるかと思いますが、これは正確には在留資格の切り替えのことを指しています。
在留カードの記載内容
在留カードには下記の項目が記載されており、カードに搭載されたICチップにも同様の内容が書き込まれています。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍
- 住居地
- 在留資格
- 在留期間
- 就労の可否
- カードの有効期限
この中で技能実習生が就労する上で重要になるのが「在留期間」と「カードの有効期限」です。
期限が切れると日本に滞在することができなくなってしまいます。
在留資格と在留期限
在留資格とは、日本への滞在目的を示すものです。
技能実習生の在留資格である「技能実習」では在留中の就労が許可されており、3年間の滞在が認めらています。
ただし、在留カードの更新は毎年必要です。
在留カードの更新
在留カードの更新は最寄りの地方出入国在留管理署で本人が行い、必要な書類は下記の4点です。
- 申請書
- 顔写真
- 現在の在留カード
- パスポート
申請の結果はハガキで届き、そのハガキを持って入国管理局へ行き、新しいカードを受け取ります。
更新は期限の3ヶ月前より行えます。
申請には2週間～3ヶ月かかることもあるため、余裕を持って更新手続きを行いましょう。
もし万一、技能実習生の在留期限が切れてしまうと不法滞在となり、雇用している企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
そのため、本人に任せきりにせず、企業側でも在留期間を把握しておきましょう。
また、雇用の際には在留カードの記載項目を目視で確認するだけでなく、カードが偽造されたものでないかなど、有効性を電子的に確認することも必要です。
出入国在留管理庁のサイトで、在留カードの番号と有効期間を入力すると、カードの有効性が確認ができます。
なお、更新手続き中に在留期限が切れてしまった場合は、在留期間を2ヶ月延長できます。
その期間は雇用を続けていても問題ありませんが、結果が出た時点で延長の2ヶ月は無効となるため、すぐに新しい在留カードを受け取りに行きましょう。
在留カードの携帯義務
技能実習生には在留カードの常時携帯が法律で義務付けられています。
建設現場など、在留カードを持っていないと入場できない就労先もあります。
ですから、企業は常日頃から技能実習生が在留カードを携帯しているかチェックし、不携帯の場合は携帯するよう、指導しましょう。
企業にとっては面倒なことですし、指導される技能実習生としても面白くないことでしょうが、在留カードを携帯させることが技能実習生、企業、双方を守ることになります。
在留カードを紛失したらどうするか
常に携帯しなくてはいけないものだからこそ、在留カードは紛失してしまうリスクもあります。
もし紛失してしまい、探しても見つからない場合は、警察署へ紛失の届出をしたあと、再発行の手続きをしましょう。
なお、再発行の申請は「紛失に気づいてから14日以内」という期限があるため、紛失に気づいたらなるべく早く申請しましょう。
もし期限を過ぎてしまった場合は、陳述書の作成が必要となります。
それでは再発行までの流れを簡単に説明します。
➀警察署へ届出をする
紛失したカードを悪用されないためにも、まずは警察署へ紛失の届出へ行きましょう。
届出をすると「遺失物届出証明書」か「盗難届出証明書」を発行してもらえます。
この証明書は再発行の申請に必要となるため、なくさないようにしましょう。
➁地方出入国在留管理局へ再発行の申請に行く
再発行の申請に必要な書類は以下の通りです。
なお、再発行のための費用はかかりません。
- 申請書
- 顔写真
- パスポート
- 遺失届出証明書・盗難届出証明書
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は技能実習生にとっても、雇用する企業にとっても重要な在留カードについて説明しました。
在留カードには在留資格や在留期限など技能実習生が日本で働く上で重要な情報が記載されています。
また、カード自体の有効期限もあります。
技能実習生が在留資格を失うことは本人だけでなく、企業にとっても痛手となります。
ですから、在留カードの情報は企業側も把握しておき、更新時期が近づいたら本人に注意喚起するなどフォローをしてあげましょう。
