技能実習生の賃上げ・賞与はどうなっているの?

2022年5月24日   ブログ

技能実習生について調べていると、「最低賃金」などを関連ワードとして目にしたことがありませんか?
賃金が低いといわれる技能実習生、実際はどの程度なのでしょうか。
技能実習生を取り巻く環境も年々変わっています。

そこで今回は、日本人でも働いていれば気になる「賃上げ」について見ていきましょう。

 

 

技能実習生の賃金はどのくらい?

 

▲厚生労働省 令和3年度賃金構造統計調査 結果の概要 在留資格別より

 

令和3年度の調査では技能実習生全体の平均賃金は16万4,100円です。
在留資格別でもっとも低いのがわかります。
20代後半が多い技能実習生ですが、同年代の日本人の平均賃金は約35万円と約10万円の差があります。
外国人だから賃金が低いというわけではなく、「専門的・技術的分野」では日本人と差が少ないので、職種や働き方にも影響があると考えられます。

日本人よりも低賃金で働いているのが技能実習生と言えるでしょう。
ただし技能実習制度は広い業種で採用されています。
農業、漁業、建築、食品製造、繊維・衣類、機械・金属加工などによって状況は異なりますし、経営方針によっても違います。

たとえば、ある企業では毎年度技能実習生の賃金を上げており、正社員との賃金差がほとんど無いという企業もあります。

 

 

同一労働同一賃金の影響とは?

2021年4月1日より中小企業も対象となった同一労働同一労働は、国籍や在留資格に関係なく、技能実習生も対象となります。
正規雇用と非正規雇用というだけで生まれる不合理な待遇差を是正することを目的にしています。

日本人の正社員、日本人非正規労働者、技能実習生が同じ賃金ということもありえます。
もし差があるなら企業はその理由を説明できなければなりませんし、できないのなら労働者から損害賠償請求ということもありえます。

技能実習生制度でも技能実習3号の熟達したレベルになると、通常の日本人正社員との賃金を比較する資料を求められる場合もあります。

 

 

定期的に賃金をあげる必要性もある

技能実習生制度は賃上げをする義務はありません。
受入時の契約書にも昇給の有無を記載することが多いでしょう。
経営面で賃上げは厳しいという面もあります。
たった時給10円でも月にすれば2,000円近くなる上に、残業代など割増での負担は重たいですよね。

ですが、賃上げにもメリットはあります。

 

モチベーションの向上

今の日本人は給料の上昇に強いモチベーションを持たなくなっています。
賃金そのものよりも「やりがい」や「働く意味」を重視するからです。
経営者の課題は賃金以外でどうやってモチベーションを生み出すのかの書籍やセミナーも多く見られます。

一方で「頑張れば給料が増えるかもしれない、だから頑張ろう」と思う技能実習生は日本人よりもはるかに多いといえます。
日本にいられる期間が決まっていることも、より効率的に働きたい意欲となるようです。
逆に思ったよりも手元にお金が残らないと感じれば、労働意欲の低下にも繋がりやすいと言えるでしょう。

 

母国の物価上昇や為替変動への対応

母国への仕送りや、帰国後の起業資金として貯蓄などお金の使い道を考えています。
ポイントとしては「母国ではどのぐらいになるか」です。

日本で受け入れている多くの国では急激な経済成長が続き、経済成長率は5~10%、物価のインフレ率も2~4%です。
一方、日本では経済成長率もインフレ率も1%程度にすぎません。
日本人は経済成長やインフレの影響の感覚が弱いですよね。

ですが、技能実習生にとっては切実な問題であり数年日本にいるだけで母国の物価は10%近く上昇して
思ったよりも稼げてないという焦りや不満に直結します。
さらに円安に為替が向かえば影響は大きくなります。
焦りや不満を緩和するためにも賃上げは有効です。

 

 

賃金をあげるポイントとは?

賃上げは1人1人の評価に応じてするのが原則です。

日本では「仕事はいつか報われるものだ」と、具体的な賃上げの基準を定めない企業もありますが、あくまで日本文化です。
誰が見ても分かる基準をつくるのがポイントです。
業務に必要とされる語学力、資格、社内検定、人事評価なども基準の1つにするとよいでしょう。

 

 

どのくらい賃上げしたらいいの?

時給を上げる手当を増やすボーナスの3つに分けられます。
もっとも分かりやすいのはボーナスで、企業側としても管理しやすいでしょう。
時給や手当についてはリーダー的な立ち位置、技術面で優秀など能力を反映すると効果的です。

金額は一律ではなく1人1人差をつけて「頑張ったら支給されるもの」という扱いを忘れないようにしましょう。

金額についてですがボーナスは数千円程度、時給は10円単位でも問題ありません。
重要なのは経営者の気分ではなく「仕組み」として行われることでしょう。

 

 

賃上げがしにくいケースとは?

賃上げは業種によってもスタンスが大きく変わってきます。
これは企業の利益が「人」と「機械」どちらの割合が大きいかの問題です。

たとえば建設業のように人の技術向上が生産性に大きく影響があるようなら、企業としても賃上げしやすいでしょう。
実際、建設業では正社員と技能実習生の賃金の差がないという企業もあります。

一方で、製造業のように生産工程のほとんどが機械で人が補助作業である場合や
技能実習生の技術が向上しても利益が増えない業種では賃上げがしにくい傾向があります。

 

 

まとめ

技能実習生には法的に賃上げをする義務はありません。
ですが、モチベーションの維持や母国の経済発展による賃金への不満を避けるためにも効果はあります。
賃上げは一律ではなく1人1人の実績と評価を反映させることが大切です。
もちろん企業や業種によっては賃上げが難しいですが、数千円のボーナスでも励みにはなるでしょう。

ふれんど協同組合では技能実習生と受入れ事業所をつなぐサポートにも力を入れています。
放っておくと大きなトラブルになってしまうお金の話題のご相談にも対応いたします。
もし技能実習生制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!