健康診断でもストレスチェック制度が導入されて、身体だけではなく心の健康も重視されるようになってきましたよね。
「技能実習生がパワハラで鬱に」とニュースで取り上げられることもあります。
今回は技能実習生のメンタルヘルスについて学んでいきましょう。
メンタルヘルス不調の原因とは?
身体と比べると心の問題は複雑です。
技能実習生にとって文化、生活様式、価値観が違う海外の生活は常にストレスがかかっています。
日本人との誤解が生まれることも多く、慣れ親しんだ対処方法が上手くいかないことはストレスを深刻なものにしてしまうのです。
ストレスの影響は人それぞれ。
不眠、体調不良、抑うつなど少しずつ症状として現れてくることもあります。
上司や同僚など周りの関係によっても大きく差が生まれてしまうでしょう。
パワー・ハラスメントはメンタルヘルスに大きな影響を与えます。
不利な立場になりがちな技能実習生に対して暴言を吐いたり、無視をしたりする日本人は一定数存在します。
どうせ言葉が分からないだろうと罵る人もいますが、相手の悪意ある態度は伝わるものです。
もちろん、暴力的行為は労働衛生法でもメンタルヘルスに最も大きく影響を与えるとされています。
技能実習生自身が法や制度上に助けを求める方法もありますが、活用しにくい環境であるケースもあるでしょう。
メンタルヘルス不調の経営リスク
業務中に怪我をすれば労災として医療費など給付がありますが、メンタルヘルスでも業務と因果関係があると認定されれば対象となります。
メンタルヘルスは長時間労働、暴力、人格否定発言など心理的な負荷を、同じように働く労働者(職種、立場、年齢、経験など)が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されます。
メンタルヘルスの不調により、労働基準法の安全配慮義務など法的な責任を問われる可能性もあります。
また、技能実習生から損害賠償請求など民事訴訟を起こされるリスクもあるでしょう。
技能実習生の自殺など深刻な事態に陥った場合、マスコミの報道や行政の情報公開により社会的信用を失ってしまいます。
法的な処分によっては技能実習生を受け入れられなくなることも注意しなければなりません。
兆候を見逃さないようにする
メンタルヘルスの不調には兆候があるのが普通です。
ほとんどの場合は本人には何かしら自覚症状があり、周りに知られないように隠しているでしょう。
つまり、周りが「おかしい」と感じる頃にはかなり進んだ状況になってしまっています。
技能実習生がおかしいと思っても性格なのか、メンタルヘルスの不調からなのか判断は難しいですよね。
まずは地域が運営する精神保健福祉センターなどに相談して精神科医を紹介して貰うのもよいでしょう。
中小企業にとっては行政の支援組織は心強い味方になるはずです。
では、不調になる兆候とはどんなものがあるのでしょうか。
- 遅刻、欠勤、早退が多くなる
- やることをしなくなったり、ミスや事故が目立つようになったりする
- 作業が遅くなった
兆候は症状によってバラバラですが、共通して言えるものがこの3つです。
その他にも症状別に分けるとこのような特徴があります。
・職場不適応
おどおどしている、その場をよく離れる。休日は元気である。
・うつ病
消極的で決断ができなくなる、悲観的になり帰国したいという、休日問わずふさぎ込んでいることがある。
・そう状態
延々しゃべり続ける、開放的になったり怒りっぽくなる、大きな散財をする。
・神経病
眠りが浅い、体調や仕事を気にしすぎる。
これらは特徴の1つですが「今までと様子が違う」と感じたときのヒントになります。
表情、ため息、ぼんやりしている、体型の変化、タバコやお酒の増加なども気づくきっかけとなります。
メンタルヘルスの不調を防ぐためには?
技能実習生の声を聞く
技能実習生本人が自覚し、周りが変化に気づくためにセルフチェックシートを書いてもらうのが効果的です。
身体、心、職場環境についてアンケートのように書いてもらえば、シャイな技能実習生でも申告しやすくなります。
早めに異変に気づく仕組みとして定期的に行うとよいでしょう。
技能実習生と面談などの場を設け、よく話を聞いてあげるようにしましょう。
企業側としては「解決したい」と思い、原因究明や忠告をしてしまいます。
グッとこらえてまずは技能実習生の感情を受け入れて共感することが大切です。
また、プライベートのこともできるだけ聞く必要もあります。
日本人同士の面談でも感情面の話題では、相手の言いたいことが分かりにくいことがありますよね。
焦らずに何が問題か「なぜ?」ではなく「~ということですか?」と、手助けするにしましょう。
職場環境の改善
技能実習生にとって「仕事が覚えられない」「作業の仕方がわかりにくい」ことは、自信喪失や不安からトラブルに繋がります。指導員の教育方法の改善や母国表示の整備など、根本的な原因解決は重要です。
自社だけで解決しようとはせず、監理団体、外部専門家、相談機関の力を活用するのも改善の近道になります
技能実習生には「逃げ道」をなるべく多く用意するのもよいでしょう。同僚、上司、管理部門、社長、監理団体、外部の相談窓口などがあることを伝え、少しでも抱え込ませない工夫が必要です。
まとめ
ストレスを抱えやすい環境にある技能実習生はリスクが高いといえます。
企業にとっても経営に大きな影響を及ぼすトラブルに発展する可能性があります。
技能実習生の普段と違う兆候を見逃さず、丁寧に話を聞くことが大切です。
ふれんど協同組合では技能実習生のメンタルサポートも充実。
技能実習生と受入事業所の悩みを一緒に解決し、よりよい技能実習を実現できるよう導きます。
もし技能実習生制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームからお問合せください!