外国人技能実習生と大使館・総領事館との関係とは?

2022年9月22日   ブログ

私たち日本人が海外旅行に行くとき、楽しみと同時に「トラブルがあった時どうすればいいんだろう…」と不安を感じますよね。
旅行ガイドブックには困ったときの連絡先に、必ず日本大使館の住所や連絡先が記載されています。

では、技能実習生や特定技能実習生として来日している人たちにとって、大使館とはどのような存在なのでしょうか?

大使館と総領事館って何?

大使館は各国の首都に置かれており、自分の国を代表して、外国との外交交渉や情報収集などが活動の中心となっている存在です。

一方の領事館は主要な都市に置かれていて大使館より国民にとって身近な問題を解決することが多いといえるでしょう。

大使館には治外法権が認められているので、大使館や総領事館の敷地内は外国(大使館が置かれている国)の法律は適用されません。

大使館と総領事館の役割とは?

大使館と総領事館は自国の国民を守るためにさまざまな活動をしています。

しかし、大使館の敷地外で現地の法律に違反してしまった場合には、大使館もできることは限られているのです。

例えば国によっては路上で飲酒をすると逮捕されてしまうことも…。
ここでは外国にある日本大使館を例にして役割を学んでいきましょう。

外国人へのビザの発行

日本に入国したいという外国人からの申請に対して審査を行います。
条件を満たさなければビザは発行されないこともあります。

事件・事故・緊急入院したとき

被害者に応じて相談や解決方法を一緒に考えてくれます。

通訳や弁護士の手配、ケガをしていれば母国語が通じる医療機関の情報提供、現地の警察などとのパイプ役としてさまざまな調整も行っています。
母国の家族へ連絡し、家族がパスポートを取得していなければ緊急発行するということもあります。

盗難紛失

外国で物を盗まれてしまう、というケースは身近に起こりうる問題のひとつでしょう。
現地の警察への届出方法や、滞在費が無くなってしまった場合の対応方法も教えてくれます。
パスポートの新規発行も可能です。

ただし、滞在費の貸付や犯人の捜索まではできません。

緊急事態や行方不明

滞在国に危険な兆候があれば、避難勧告などの方法を提供します。
台風などの天変地異や戦争や内戦といった緊急時には救出活動や出国の支援を行います。
滞在している国民が費用を支払う場合もあれば国が負担する場合もあります。

逮捕拘禁

外国では母国の法律が原則として適用されません。
違法と思わずにしたことや、知らずに犯罪に利用されて逮捕されてしまうこともありえます。
大使館や総領事館は弁護士や通訳の提供や家族への連絡をしてくれます。

ただし、サポートまでが限界で釈放を求めることはできません。
法律の相談、資金援助、取調べや裁判に介入することもできません。

技能実習生との繋がり

大使館と領事館は自国民のためにできる限りのサポートをしてくれます。
日本にある技能実習生出身国の大使館や領事館でできることも大きくは変わりません。

では、技能実習生や特定技能実習生とはどのような関わりをしているのでようか?

ビザ(査証)発行や資格変更の書類発行

日本で技能実習や働くためにはビザが必要で、ビザ発行するのは日本大使館が行います。

しかし、ビザの発行前にはいくつかの審査が必要なのが普通です。
手続きは母国の法律や日本との関係によっても変わってきます。

ネパールでは技能実習生や特定技能実習生として国外に出国するにはネパール労働・雇用・社会保障省の海外雇用局に申請し「海外就労許可」を受ける必要があります。

一方、タイでは特定技能実習生として日本で雇用されるためには地方出入在留管理局に申請を行い、交付後に日本にあるタイ王国大使館の労働担当官事務所で認証手続きを受けなければなりません。

技能実習から特定技能への在留資格変更のような場合も同じです。
証明書関係は日本でいう厚生労働省の管轄が多いですが、大使館を拠点として手続きが行われることもあります。

パスポートの更新

技能実習生は順調に行けば5年間、人によってはもっと長い期間に及ぶこともあります。
パスポートの有効期限を迎えてしまったら更新しなければなりません。
パスポートは有効期限が1年未満になったら日本国内の母国の大使館や領事館で申請が可能です。

どこにあるかは国によって違い、政令指定都市のような大都市にしかないことも多くあります。
日本国内で更新する場合には休みを貰う必要もあるでしょう。
大使館や領事館は混雑していることが多く、その日のうちに手続きが終わらないこともあります。

申請を代理人に頼むこともできますが、受け取りは本人でないとダメなど国によってさまざまなルールがあります。

緊急時の対応

新型コロナウイルスの入出国制限により長期間母国への帰国便が飛ばないという事態も発生しました。
技能実習生も実習が終わっているのに帰れずに対応に追われた受入れ事業所も少なくありません。

そこでベトナム政府はチャーターした航空便で日本にいる自国民を帰国させる対応を取りました。

その他、地震や台風など自然災害が多い日本では安否確認などさまざまな活動が行われています。

情報発信や情報収集

日本に住む技能実習生などの生活の助けになる情報提供を行っています。

例えば日本語教育アプリの紹介、詐欺被害への注意喚起、トラブル防止のための資料提供です。
自国民が適正な待遇を受けられているか実態の把握、受入れ事業向けの資料配布を行っています。
在日ベトナム大使館では具体的な確認事項を公開して注意を促しています。


▲在ベトナム日本国大使館 「ベトナム人技能実習生の受入れに係る留意事項」資料より

 

まとめ

大使館や領事館は自国民を守るためにさまざまな取組みをしています。
技能実習生や特定技能実習生とは在留資格での関わりが深い存在です。
普段は意識することが少ないですが、万が一のときに手助けをしてくれる存在と言えるでしょう。

ふれんど協同組合では日本への受入れ、在留資格の更新、不足の事態などしっかりとしたサポートを行っています。
もし技能実習生・特定技能制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!