外国人技能実習生は【任意保険】に加入した方が良い?保険料についても解説!

2022年2月10日   ブログ

技能実習生の母国と日本は社会制度や習慣など違いがあります。

不慣れな国で住む彼らにとっては、小さな出来事でも大きなリスクに発展しかねません。

万が一に対応できるように準備が必要です。

 

 

技能実習生が加入する公的社会保険とは?

 

任意保険をしなくても技能実習生には保険がかけられています。

技能実習生に企業は国の社会保険に加入させる必要があるからです。

 

雇用保険

会社が倒産した時に貰える失業手当が代表例です。

育児休業や介護が必要な場合も申請すれば受給をすることができます。

 

労災保険

業務中や通勤中に起きた、ケガや病気のための保険です。

治療費は無料となり、働けなくなった期間の保障もあります。

障害が残った場合や死亡時には年金や一時金が支払われることになります。

 

健康保険

労災保険とは違い、業務・通勤中以外のケガや病気のための保険です。

治療費の3割程度の自己負担もありますが、高額医療費制度により上限も設定されています。

また、入院などで働けなくなった期間中は傷病手当金が支払われます。

 

厚生年金保険

老後に貰える年金をイメージしがちですが、重度の障害の場合は年金を受給できます。

死亡時にも要件を満たせば遺族年金が家族に支払われます。

 

このように外国人でも日本の公的な社会保障制度を利用することができます。

十分だと感じる方も多いでしょうが、実はトラブルはそれだけではありません。

 

 

技能実習生に起きるリスクとは?

 

何年かだけ日本で働く技能実習生にとっては、健康保険が1番お世話になる制度でしょう。

慣れない気候や食文化、ストレスから体調を崩す技能実習生は少なくありません。

それに大きなケガや病気にいつなるかは分かりませんよね。

 

健康保険には高額医療制度がありますが十分ではありません。
所得に応じて上限が決まりますが、月々10万円近くになります。

また、ベッド代や食事代は別にかかります。
これを技能実習生1人で支払うのは難しいでしょう。

 

もう1つの大きなリスクは「他人のモノを壊した」「他人を傷つけた」ときです。
これは公的社会保障制度ではまったく対応ができません。
とくに増えているのは自転車で誰かとぶつかってしまったケースです。

多くの技能実習生は自転車移動がメインです。
ママチャリといっても、日本の道路状態はよくスピードがでます。
ちょっとした下り坂でも時速30km近くになるでしょう。

人とぶつかった場合は、死亡事故にもなりかねません。
最近の裁判例では5,000万円~1億円の賠償金の支払命令がされています。

 

 

どんな内容の保険がいいの?

 

「外国人技能実習生総合保険」と呼ばれる、技能実習生向けの保険があります。
大手保険会社でも扱われている保険商品で、技能実習生が遭いやすいケースがカバーされています。

  • 日常生活でのケガをした
  • 病気にかかってしまった
  • 他人をケガさせた

 

直接本人の助けになるものから、危篤状態になった、死亡した場合に母国から親族を呼び寄せる費用をカバーする商品もあります。
ただし、むし歯などで歯医者にかかる、妊娠・出産、ケンカによるケガは対象にならない場合が多いでしょう。

総合保険に加入しないなら、特定の保険もあります。

例えば、自転車事故に備えた自転車保険だけに加入する場合です。
自転車保険は市町村によっては「義務」とされる地域もあるので、合わせて確認をしましょう。

保障される内容は商品、選んだプランによって異なります。

自社の状況なども考えて、必要な補償額であるかを検討しましょう。

 

 

保険期間に注意!

 

保険期間は企業に配属される「前」の期間も考慮しましょう。

技能実習生は入国後に1ヶ月ほどの研修期間があります。
その間に起きたものは、企業側が対応するものが実は多くあります。

また、在留資格切替えのために一時帰国中に保険から外す場合は、日本復帰後の手続きを忘れないようにしなければなりません。

 

 

保険料はどのぐらい?どうやって処理するの?

 

プランによって差がありますが、総合保険なら1年で3万円以内には収まるでしょう。
保険は監理団体が取りまとめていることが多く、技能実習生が保険会社に支払うことはまれです。

保険料の負担を企業が福利厚生とするのか、本人がするのかは判断が分かれるでしょう。

福利厚生とする場合には、日本人との公平性が問題となる場合があります。
就業規則への反映や、従業員の過半数代表や労働組合との間で話し合いが必要になるケースもあるでしょう。

技能実習生本人の給与から控除する場合は、任意保険に加入する旨と金額をあらかじめ説明しておきましょう。
本人の同意なく控除できる社会保険料と違い、任意保険の保険料は労使協定を結ぶ必要があります。

あらかじめ確認をしましょう。

 

 

まとめ

 

技能実習生は公的保険制度に加入することになります。
一見、それで大丈夫なように思えますが、万が一のとき技能実習生が支払える金額を大きく超えてしまいます。

保険会社では技能実習生向けの心強い総合保険が扱われています。
ケガ、他人への補償、親族の来日など技能実習生に特有のケースに備えることができます。
受け入れの際、監理団体から加入するかどうかを聞かれることが多いと思いますので、どんな保障があるのかをきちんと確認するとよいですね。

保険料負担は企業判断によりますが、就業規則や労使協定など手続きが必要になる場合があります。

いざというときに困らないように、あらかじめリスクに備えましょう。