外国人材が日本で永住権を取得する方法とは?

2023年2月1日   ブログ

技能実習制度では約5年で母国に帰国する必要があります。
技能実習生の中には日本国籍は無理でも、永住権は取得したいと希望する人も。
今までよりさらに柔軟に暮らすことができる永住権を取得するにはどうすればよいのでしょうか?

永住権とは?

ビザ更新をしなくてよい

永住権とはその名の通り、在留期間を制限されずに日本で生活することができる権利のことです。
永住権を取得することで在留資格の更新手続きをせずに済みます。
ビザの更新手続きは仕事を休む必要があり、所在地によっては泊まりがけになることもあります。
窓口では長時間待たされることが普通です。
専門家に代理で行って貰うにも金銭面での負担は少なくありません。
永住権があっても在留カードを7年ごとに更新する必要はあります。
ですが費用もかからず原則即日交付されます。
日本人にとって自動車免許の更新のイメージに近いでしょう。

自由に働ける

外国人にとって永住権の最大のメリットは就労制限が無くなる点です。
日本に長期滞在するためには目的別に滞在許可が出されるので、活動できる幅は限られています。
日本で就職するときも、企業は永住権を持っている外国人を積極的に採用する場合もあります。

日本人との差がほとんど無くなる

永住権といえども国政での投票権はありません。
地方自治体で投票ができると定めることはできますが、基本的には否定的な意見が大勢です。
しかし、社会保障の面での差はほとんどありません。
金融機関での住宅ローンも組むことができるなど社会的な地位も安定しています。
さらに、配偶者や子どもの在留資格も制限がほとんど無くなるので暮らしやすくなるのです。

永住権を取得する条件とは?

素行が善良であること

出入国在留管理庁のガイドラインでは「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」とされています。
犯罪や交通違反など日本の秩序を乱す外国人に永住権は与えないということです。


▲群馬県 「国民健康保険税収納の状況」より

2018年ごろから永住権の取得はさらに難しくなったとされています。
所得税、住民税、年金や健康保険料、各種届出がされているかどうかも審査されるようになりました。
群馬県の調査によると外国人の未納率は高く、外国人比率が大きいほど傾向は大きくなっています。

日本で生活ができるかどうか

ガイドラインでは「日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」とされています。
EUやアメリカで社会問題化しているのは、難民や移民などの収入が低い層によるものです。
日本では十分な貯金、安定した職業や年収が300万円を超えているかなど国などの財政負担にならない外国人にだけ永住権を与えています。
さらに審査には本人だけではなく配偶者など家族全体も対象となります。

日本国の利益になるかどうか

犯罪などを脅かさず、納税など義務を果たしていることは前提となります。
さらに以下の条件をクリアすることも求められます。

原則として

  • 10年以上日本に在留している
  • 直近の5年間働いている
  • 生活の基盤が日本にあること

ただし、10年以上のうち技能実習と特定技能1号の期間は含まれません。

取得には特例もある

永住権の取得には厳しい条件がありますが特例もあります。
特例に該当すれば永住権取得の基準が大きく緩和されます。

  • 日本人との結婚が3年以上継続して、1年以上日本に在留している
  • 定住者(日本人配偶者と死別などした外国人)の資格で5年以上継続して日本に在留している
  • 難民認定を受けてから5年以上継続して日本に在留している
  • 外交・社会・経済・文化などの分野で日本に貢献があると認められる者で,5年以上在留している(ノーベル賞受賞、文化勲章受勲、地域貢献など)
  • 高度人材であること

特例だけあって限られた人のみが対象となっています。
この中でも「日本人との結婚」は現実味があるのではないでしょうか。
しかし、技能実習制度は「日本で学んだ技能・技術を母国で活かす」ことを目的にしています。
そのため技能実習中に配偶者ビザに切り替えることは難しく、実習終了後に手続きすることになるでしょう。

技能実習期間の扱いはどうなる?

技能実習生のままでは永住権を取得することはできません。
永住権を取得するには「10年以上日本に在留している」をクリアする必要がありますが、この10年に技能実習と特定技能1号の期間は含まれないからです。
永住権を取得するには特定技能2号に移行するのが近道。
技能実習⇨特定技能1号⇨特定技能2号とステップアップする方法です。
ただし、特定技能2号は「建設」「造船・舶用工業」の2分野のみに認められています(2022年11月時点)
現状としては技能実習生から永住権を取得するハードルは高いと言えます。
しかし、日本の人口減少傾向は止まらず人手不足感も続いていることから、今後の法改正で緩和される可能性はあるでしょう。

まとめ

永住権があると日本に無期限で滞在することができ、就労制限もなく自由に活動することができます。
しかし、取得するには法律を守って納税などの義務を果たし、日本で生活できるだけの収入などがなければなりません。
永住権を取得するために在留した期間には技能実習と特定技能1号は含まれず、特定技能2号に移行という高いハードルがあります。
ふれんど協同組合では在留資格など分かりにくい制度についても、分かりやすく説明・サポートする体制があります。
もし技能実習生・特定技能制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!