特定技能1号になりたい!その試験内容とは?

2023年2月8日   ブログ

日本で外国人労働者が特定技能として働くためには試験に合格しなければなりません。
外国人労働者が「日本語」と「技能」があることを証明するためのものですが、どんな内容か気になりますよね。
今回は特定技能になるための試験内容についてご紹介します。

在留資格「特定技能」とは

対象となる業種は?

特定技能は在留資格の1つで2019年4月から導入されました。
よく一緒に話題とされる「技能実習制度」が国際貢献を目的とした実習制度なのに対して、特定技能は人手不足対策の制度です。
特定技能はどんな仕事でも働くことができるわけではなく、少子高齢社会で人材確保が難しい14種類に限定されています。

令和4年6月時点では約9万人が特定技能として活躍しています。
分布としては下記の7種類で約90%を占めているのが特徴です。

  • 製造分野 約54% ※産業機械製造、電気電子情報関連、素形材、飲食料品製造
  • 農業   約13%
  • 介護   約12%
  • 建設   約10%

出典:出入国在留管理局 各四半期末の特定技能在留外国人数(令和4年6月末)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001378809.pdf

特定技能1号と2号の違いとは?

特定技能の在留資格には1号と2号に分かれています。
特定技能1号は一人前になる手前の外国人労働者と言えるでしょう。
しかし、即戦力として期待できる能力は備わっています。
特定技能2号では求められる能力が高くなる分、プロフェッショナルとして待遇が向上します。
在留期間の緩和や家族の帯同が可能で、日本の永住権を取得できるチャンスも広がります。

特定技能1号になるための技能試験とは?

技能試験とは?

技能検定は外国人労働者が「相当程度の知識と経験」を持っており、即戦力として働けるかどうかを判断するためのものです。
特定技能の試験は職種ごとに違い、さらに職種の中でも業務別に細かく内容は分かれています。
試験を監督する行政機関も厚生労働省、国土交通省、農林水産省、経済産業庁と分かれていて、実際に試験を運営している団体もバラバラです。
試験はCBT方式が基本となっています。
CBT方式とはパソコン上で行う方法です、1年を通じて好きな日時でテストが行える仕組みのことをいいます。
一般的にはパソコンスクール運営会社などに委託しており、日本全国で試験を受けることができます。
受験者にとっては日程調整や交通費の削減とメリットが大きいのではないでしょうか?

受験のチャンスは増えている

令和2年4月1日からは在留資格を持っている人であれば受験できるようになりました。
観光などを目的にした「短期滞在」でも試験を受けることができるのです。
技能実習生も対象なので、技能実習から特定技能への移行もスムーズになりました。
また、日本だけではなく、二国間協定を締結した国であれば、外国人労働者の母国でも試験を受けることもできます。
ベトナム、中国、フィリピン、タイ、ミャンマー、インドネシアなど外国人労働者や技能実習生の人数が多い国とは既に締結がされています。

技能試験の難易度とは?

技能試験の難易度は職種や区分によって変わるため、統一はされていません。
しかし、主要な分野の要件を見ると「技能実習2号の実習を修了した技能実習生が、5~7割合格できるレベル」であることがわかります。
技能実習2号は「技能的に習熟」、技能実習3号は「技能などに熟達」とされているので、習熟と熟達の真ん中というイメージとも言えるでしょう。

・製造分野

技能実習2号修了者が受験する技能検定3級試験程度を基準

・飲食料品製造

我が国の飲食料品 製造業における実務経験年数の合計が平均2年程度(1~3年程度)の者が、本試験に特化した学習用テキスト等を用いた準備を行わずに受験した場合に5割程度が合格する程度の水準

・建設業

技能検定3級相当の水準とし、図面を読み取り、指導者の指示・監督を受けながら、適切かつ安全に作業を行うための技能や安全に対する理解力等を有する者で、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識を問うもの

・農業

日本国内での実務経験が3年以上の者であれば、7割程度が合格する水準

・介護

第2号技能実習修了相当の水準である介護技能実習評価試験と同等の水準

製造分野の試験の特徴

鋳造、鍛造、ダイガスト、機械加工、金属プレス加工など約20種類に分かれています。
CTB方式での学科試験が実施されています。
作成、組み立て、調整など技能をチェックするものもあります。
合格率は全体的に高いとは言えません。
受験人数が多い機械加工、電子機器組み立ては10%以下です。
金属プレス加工では131人が受験して合格者無しのことがあるように、合格率0%というのは珍しくありません。
全体的には0%~25%と言えるでしょう。

農業分野の試験の特徴

農業分野は「耕種」と「畜産」に分かれており、CTB方式で学科と実技試験が実施されています。
学科では農業と畜産の一般知識、栽培方法、飼養管理、安全衛生などが問われます。
実技はイラストや写真を使って行われ、種類の違いや器具の取り扱い方法などが判断できるかが問われます。
合わせて、日本語のヒアリングも盛り込まれています。
合格率は国内・国外ともに60~100%と高い水準となっているのも特徴です。

建設分野の試験の特徴

建設分野では2022年8月に業務区分が変更されました。
以前は19業務区分と細かく分けられており、合格した業務以外には従事できませんでしたが、大きく括った3区分になり、外国人が従事できる業務範囲が広がっています。

  • 土木
  • 建築
  • ラインインフラ・設備

CTB方式で学科と実技試験が実施されています。
学科試験:試験時間60分 問題数30問
実技試験:試験時間40分 問題数20問

実技試験では工具の判別、工法、安全衛生について知識が事例も交えながら問われます。
日本語読解力と共に、実践的な知識が必要な問題と言えるでしょう。
合格率は国内・国外ともに50~100%ですが、30%程度の実施回もあります。

介護分野の試験の特徴

CTB方式で学科と実技試験が実施されています。
学科として介護の基本、体と心の仕組みの理解、生活支援技術が問われます。
実技では写真などを掲示して、正しい介護の手順について判別・判断をする内容となっています。
合格率は実施回によって差がありますが、概ね50~80%となっています。
令和4年11月のミャンマーでの試験では635人受験して629人合格しました。
なんと合格率99.1%と驚くべき数字です。
一方、同じ11月のネパールでの試験では99人受験して合格は63人、合格率は63.6%です。
しっかりと対策できているかどうかでも差が出ているようです。

特定技能1号になるためには日本語試験もある!

日本語試験とは?

日本語力を証明するものには「日本語能力試験(JLPT)」と「国際交流基金日本語基礎テスト」があります。
どちらかの多肢選択式試験で一定水準をクリアしなければなりません。
日本語能力試験ではN4以上の合格が必要です。
N4は「基本的な日本語を理解できる」レベルであり、5段階レベルの下から2番目と高難易度というわけではありません。
合格率も約4割なのでしっかりと勉強をすれば到達できるでしょう。
また、日本国外でも受験が可能な国もあります。
国際交流基金日本語基礎テストではA2(初級)レベル程度が求められます。
比較的実践的な内容となっているのが特徴です。
日本語能力検定と比べて実施回数が多いメリットがあります。

介護日本語評価試験とは?

さらに介護分野では日本語試験に加えて「介護日本語評価試験」にも合格が求められます。
人の生命に関わる分野なので慎重な対応となっています。
介護は日常会話ができるだけではなく、介護現場特有の会話を習得している必要もあります。
求められる水準は「介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度」
合格率は約6割であり難易度が極端に高いわけではありません。

試験が免除になる外国人とは?

外国人労働者が特定技能の在留資格を得るためには、技能試験と日本語試験に合格する必要があります。
しかし、特定技能は一定の技能がある即戦力の労働力を確保することを目的にしています。
そこで、同等の資格や条件をクリアしている場合は試験を免除する仕組みがあります。

技能実習2号を良好に修了し、関連のある業務で働く場合

特定技能1号の試験内容は、「技能実習2号修了する以上」であることが最低ラインとなっています。
そこで、技能実習2号を良好に修了して、技能実習と関連のある業務に携わる場合には試験が免除されます。
つまり、建設業系の技能実習2号から建設業系の特定技能1号には試験免除されますが、製造業の特定技能1号には適用されません。
「良好に修了」については、特定技能2号修了時に技能検定3級またはそれに相当する実技試験に合格していることが条件になります。
しかし、現実的には難易度が高いという問題があります。
そこで、技能実習の受入れ企業が総合的に良好と判断した場合には「評価調書」などでも証明とすることができます。

試験合格と同等以上と認められる場合

介護分野では試験合格と同等と認められるものに、下記の2つがあります。

  • 介護福祉士養成施設を修了した場合
  • EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)した場合

いずれも介護福祉士という専門職を育成するための課程であり、技能試験と日本語試験の両方の能力を兼ね備えていることを証明することができます。

まとめ

特定技能は人手不足に対応するために外国人労働者を受け入れる在留資格です。
特定技能として働くためには一定の技能、経験、日本語力を持っていることを証明しなければなりません。
そのためには技能試験と日本語試験があります。
試験内容や難易度は業務内容によって細かく分かれています。
また、技能実習2号を良好に修了した者は免除されるような仕組みもあり、さまざまな方法で特定技能1号として働くことができます。

ふれんど協同組合では技能実習や特定技能の違い、在留資格など分かりにくい制度についても、丁寧にご説明しサポートを致します。
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