ニュースで取り上げられることもある技能実習生の失踪。
労働環境、賃金、人間関係など原因はさまざまでも、失踪は受入企業にとって大きなダメージと言えるでしょう。
では技能実習生が失踪してしまった「その日」にするべきことは何でしょうか?
失踪ってどれぐらいしているの?
技能実習生の失踪者数は、令和元年以降では年間6,000人~9,000人となっています。
技能実習生の人数は令和元年には約40万人。
全体としては約2%の技能実習生が失踪していると考えられます。
日本人の平均離職率が約15%と比べれば低いですが、50人に1人が失踪しているというと多く感じます。
転職の自由が原則なく、異国である日本で失踪を選ぶには理由があるには間違いありません。
失踪する代表的な理由は「賃金」「長時間労働」「パワハラなど人権侵害」です。
企業の受け入れ体制や経営方針が原因となっていることが多いと言えます。
外国人というだけで「別の生物」のように感じる日本人がいるのも問題でしょう。
日本人が嫌だと思う仕事は技能実習生が平気なわけでは決してありません。
もっと豊かになりたいと思い、受入れ耐えているに過ぎません。
日本人に高圧的な態度や叱責されるために来たわけではないと当然思います。
このような要因が重なりついに失踪へと繋がってしまうのです。
失踪したら慌てずに状況を確認しよう
「出勤してこない」
担当者が異変に気づくのはこのときでしょう。
遅刻、出勤日間違い、体調不良、交通事故などの1つずつ確認をして本人を探します。
電話も繋がらなければ、自宅に様子を見に行き貴重品などが無くなっていないか確認しましょう。
そこで初めて「失踪」の可能性が高いと判断するのです。
ですが、それでも何かの事件に巻き込まれているかもしれません。
早い段階で、監理団体に連絡を入れて相談を始めましょう。
事件性が高ければ警察にも捜索を依頼することになります。
合わせて同僚の技能実習生や従業員にもヒアリングを行いましょう。
失踪後の手続きについて
事件性がない場合、失踪した技能実習生を見つけるのは簡単ではありません。
見つけることが出来なかった場合の手続きについて確認しましょう。
監理団体が行うこと
外国人技能実習機構(OTIT)に「技能実習実施困難時届出書」を実習実施者の住所を管轄する地方事務所・支所の認定課に提出する必要があります。
届出書の作成のために監理団体から受入れ企業にヒアリングが行われることもあります。
届出書には「発生時期、経緯、原因、今後の対応等」という項目があり、受入れ企業の実態について記入する必要があるからです。
この届出書は病気・ケガ、妊娠出産などで一時的に技能実習が行えないときにも使用されています。
地方入国管理局に連絡する
入国管理局には外国人技能実習機構(OTIT)から書類が提出されますが、地方入国管理局に行方不明になっていることを報告しましょう。
適切な指導や情報提供を得られる可能性があります。
もし技能実習を発見できた場合には忘れずに報告しましょう。
残された技能実習生や従業員へのケア
失踪に対応する担当者のストレスは大きいと言えます。
担当者の業務フォローをしっかりとしてあげましょう。
失踪は受入れ企業にとって大騒動です。
とくに残された技能実習生にとっては精神的に不安定になったり、連鎖的に失踪を考えたりするのが普通です。
技能実習生ほどではありませんが日本人従業員へのケアも必要です。
雇用契約の解除
失踪すればすぐに解雇できるわけではありません。
労働基準法には解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でなければ無効」と定められています。
通常の解雇は30日前に解雇予告を求められていますが、失踪の場合は労働者の責めに帰すべき事由として
「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤をし、出勤の督促に応じない場合」が適用することができます。
これにより解雇予告や手当支払いは不要となります。
ただし、労働基準監督署長の認定が必要になることもあります。
賃金と社会保険手続き
失踪の場合でも未払い分の賃金は支払いが必要です。
技能実習生の銀行口座に振込むのが無難な処理です。
社会保険手続きは通常と変わりませんが、退職理由が問題となります。
就業規則に「30日以上の無断欠勤の場合は懲戒解雇とする」のような定めがあれば、双方があらかじめ合意していると考えられます。
一方、就業規則に定めがない場合は通知が必要です。
失踪している技能実習生に通知ができないため、裁判所による公示送達の手続きが必要になります。
各種手続きの解約
技能実習生が見つからない場合、社宅を借りている場合は解約手続きをしましょう。
解約は1ヶ月前の申し出が必要なので、判断が遅れるほど家賃が多くかかってしまいます。
その他、インフラ関係などの解約も漏れがないようにしましょう。
まとめ
技能実習生の失踪は担当者にとってストレスがかかります。
慌てずに1つずつ対応をしていきましょう。
また、失踪は次の技能実習生受入れに不利になるなどペナルティもあります。
技能実習生が働きやすい環境を作って行くことが、長い目で見れば経営としてもプラスになるでしょう。
ふれんど協同組合では失踪などのトラブル時にも迅速に対応・フォローする体制を整えています。
また、通常の監査を始めとして技能実習生へのヒアリングなど、事前防止にも力を入れています。
もし技能実習生制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!