日本人より安く雇えるは嘘!?技能実習生に払うべき給与の相場を解説!

2022年1月5日   ブログ

外国人技能実習制度は、日本が先進国として、発展途上国の「人づくり」に寄与する国際貢献の1つです。

にも関わらず、いまだに日本の企業の中には外国人技能実習生を単なる安い労働力として見てしまう風潮があります。

しかし、外国人だからといって、安く雇えるということはありません。

そこで今回は、外国人技能実習生を雇うにあたり支払うべき給与の相場についてお伝えします。

 

1. 給与支払いについての決まり

  • (1)最低賃金以上支払う

日本で働く外国人技能実習生は日本人の労働者同様、労基法など労働関連の法律で守られています。

その為、定められた最低賃金より少ない賃金で働かせることは最低賃金法違反となり、罰せられます。

なお、最低賃金は都道府県が定めるものと、各産業が定めるものの2種類があり、高い方の賃金以上で雇わなくてはいけません。

 

地域別の最低賃金は毎年10月1日に改定されるので、下回っていないか確認しましょう。

厚生労働省のホームページよりご確認ください。(令和4年1月現在)

 

しかし逆をいえば、最低賃金を確認しなくてはならないほどの低賃金で彼らを雇うことは避けるべきです。

彼らに長く安心して働いてもらう為にも、少なくとも最低賃金よりは余裕を持った給与で雇用しましょう。

 

  • (2)割増賃金を支払う

技能実習生を時間外や休日に働かせた場合は、日本人と同様、労働基準法が定める割増賃金の支払いが必要です。

以下は、具体的な割増賃金が発生する条件とその金額です。

 

  • 法定労働時間を超える労働
  • 深夜(22時〜午前5時)の業務

→基本給の25%以上の支払いが必要

 

  • 1週間無休、もしくは4週間に休みが4日未満

→休日労働に対して基本給の35%以上の支払いが必要。

 

 

2. 給与の支払い方

(1)指定日に全額支給が原則

給与の支払いは、以下の2点に則って遅滞なく行うことが原則です。

 

  • 現金または本人の同意が得られれば振り込みで支払うこと
  • 毎月決まった日に一度で全額支給すること

 

(2)全額払いの例外

給与は全額支払いが原則ですが、以下の場合は例外となります。

 

法令に別段の定めがある場合(税金、社会保険料等)

特に在留2年以上の技能実習生には原則として住民税が課税されます。

その場合、日本の企業では給与から天引きされるケースが多いですが、技能実習生の中には、このような天引きシステムに慣れていない人もいます。

そのため、不信感を抱かれないよう、事前にしっかり説明しましょう。

 

労使協定による控除(寮費、食費等)

労使協定が結ばれている場合、寮費や食費などは給与から課税されず控除されます。

また、寮費の場合、賃料相当額の50%以上を技能実習生が企業に支払っている場合も、同様に控除の対象になります。

 

賃金台帳の作成

企業は技能実習生に対しても賃金台帳を作成し、以下の項目を賃金の支払いごとに記録する必要があります。

また、台帳は3年間の保存が義務づけられています。

 

  • 氏名
  • 性別
  • 賃金計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数
  • 時間外労働時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
  • 基本給、手当その他賃金の種類とその金額
  • 賃金の一部を控除した場合、その金額

 

 

3. 外国人技能実習生の給与の実情

令和2年の外国人技能実習生の平均賃金・年齢、勤続年数は以下の通りです。

 

  • 賃金…16万1,700円
  • 年齢…27.1歳
  • 勤続年数…1.7年

 

この数値は、前年比で2.5%増と微増しておりますが、同年代の日本人の平均給与は25万円弱ですから、それとは8万円以上の開きがあります。

外国人技能実習生制度では、技能実習生に対する報酬は日本人と同等以上にすることが定められています。
しかし実情は上記のように、技能実習生の賃金は同年代の日本人より低く抑えられています。

 

この結果を見て、やはり技能実習生は安く雇えるから得だと解釈するのは誤りです。

あまりに大きい賃金格差は、技能実習生の仕事へのモチベーション低下生み、結果、実習途中での帰国や失踪という事態を引き起こします。

技能実習生の失踪は、労働力の損失だけでなく、法務省が定める技能実習生受け入れに関する優良認定を受けられなくなる可能性があるなど、企業側の損失も少なくありません。

雇うからには技能実習生の賃金を含めた待遇については気を払う必要があります。

 

 

4. 外国人技能実習生の給与に対する希望

以下は、リフト株式会社様が令和2年9月に行った、技能実習生への「就労延長と賃金」に関する調査の結果です。

 

就労延長する場合の希望手取り額

  • 22万円程度以上(39.3%)
  • 22万円程度(21.5%)

この結果から、6割の技能実習生が働き続ける為には22万円以上の賃金を希望していることが分かります。

 

また、現状では就労延長しないとしている技能実習生への調査では、26%が「賃金が上がれば就労を継続する」と答えたそうです。

就労へのモチベーション維持は「賃金」だけに限りませんが、それでも、技能実習生にとって、働き続けることと賃金は深く結びついているといえるでしょう。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は、外国人技能実習生の給与の相場や実情、また彼ら自身の希望額についてお伝えしました。

彼らに長く気持ちよく働いてもらう為には、それ相応の賃金が必要です。

そして、彼らに働き続けてもらうことは、企業にとってもメリットがあり、逆に、安い賃金で使い捨てのように彼らを使うことはデメリットしかありません。

これから外国人技能実習生を雇おうとしている企業の方々は、ぜひ今回の記事を参考に、賃金面でも彼らが安心して働ける待遇を用意してあげてください。