日本語の壁?介護技能実習生の悩みとは?

2022年7月21日   ブログ

母国を離れて日本で実習をする技能実習生は多くの悩みを抱えています。
技能実習生に共通する悩みもあれば、介護分野ならではのものもあります。
日本人の従業員も不満が高まれば労使トラブルになりますが、技能実習生の悩みはより深刻になることも少なくありません。
介護技能実習生の悩みを知ることでよりよい環境が作れるかもしれませんよ。

増え続ける介護技能実習生

年々増え続ける技能実習生。
2022年6月現在で85もの職種で受け入れられています。
主な職種としては製造、建設、農業、漁業、繊維・衣類。
介護分野は少し遅れて2017年から対象となりました。
2020年には介護職種の技能実習計画は1万件以上が受理さており、急激な伸びと言えるでしょう。

人手不足が叫ばれるなか介護分野でも深刻な状況が続いています。
2025年に235万人の介護人材が必要なのに対して200万人強しか供給できる見込みはなく、約30万人も人材が不足すると考えられているのです。

特定活動、特定技能など外国人介護職員の在留資格の1つが技能実習生です。
技能実習生制度は労働力不足を補うものではなく、技術や知識を経済発展に役立てるものです。
技能実習生の労働力は副産物的なものですが、それでも人材不足への対応方法の1つとして見られてはいます。

介護分野の技能実習生が増え続ける一方で、技能実習生が抱える悩みや問題点も徐々に明らかになり始めています。

介護の技能実習生の悩みとは

介護分野の技能実習生として実習を始めるには、高い日本語力や専門知識が要求されます。
他の職種では技能実習生が未経験でも問題ないのと比べると、大きな違いと言えるでしょう。
その分、明確なキャリアの希望を持っている技能実習生が多いのが特徴です。

言葉の壁

技能実習生の共通の悩みでもある「日本語」。

介護職は他の職種よりも日本語力が強く求められるという特徴があります。
たとえば製造業では作業の指示が分かれば業務には支障がありません。
ですが、介護職では高齢者とのコミュニケーションが重要となります。
挨拶だけではなく、体の不調や要望など深いレベルで相手の意図を汲み取る能力が求められます。

もちろん、キャリア意識が高い傾向にある介護技能実習生の多くは日本語力の向上に力を入れたいと考えていますが、日本語学習に悩みがあります。

介護技能実習生がもっとも課題に感じるのは「勉強する時間が確保できない」ことです。
そんなものは家で勝手に学べばよいと感じる人もいるでしょうが、技能実習生が求められるのは日常会話だけではありません。
日本語の学習を通じて介護全体の知識を学んでいるのです。

日本人でも難しいと感じる介護の専門知識。
技能実習生はそれを日本語ベースで学んでいます。
そこで「勉強の仕方が分からない」「内容が難しくて理解できない」という問題も発生しています。

キャリアを積ませて貰えない

限られた技能実習期間でしっかりと知識や経験を学びたいと思う介護技能実習生。
一方で、日本語力が不安ということで、清掃など専門性の無い仕事しかさせない受入れ事業所もあります。
これは技能実習制度にも反していますし、技能実習生のモチベーションを大きく低下させてしまうことでもあります。

言葉は使えば使うほど磨かれていくものです。

また、言葉はコミュニケーション方法の1つにすぎません。
日本語が話せても介護職に適正がない人は多いですよね。
日本語は十分ではなくても利用者さんと意思疎通ができていたり、介護技術がしっかりしていたりする技能実習生は少なくありません。
日本語力だけで制限してしまうのは適当ではないでしょう。

受入れ事業として取り組めることとは?

学習支援を行う

日本語力は技能実習計画にも密接に関わります。
受入れ事業所としては、勉強時間の確保や学習支援を積極的にするとよいでしょう。

内容によっては自宅での自主学習だけでは理解が上手くできないものもあります。
テキストと実際の業務を関連付けながら指導してあげることで、より深く効率的に学ぶことができます。

学習支援を行うには日本人従業員の理解も大切です。
人手不足のなか忙しい施設では外国人に付き合っている暇はないと思う人もいるでしょう。

また、経営者がよかれと思って施設内で学習させていると、たとえ業務時間外であっても反感を持つ人もいます。
学習支援には「学ぶことが利用者の幸せ、自分たちの成長に繋がる」という職場風土を作るのも並行して行う必要があるのです。

キャリアパスを示す

明確な将来の夢や目標を持っていることが多い介護技能実習生には、キャリアパスを提示することも大切です。
なぜなら技能実習生が「ここにいても将来につながらない」「もう学べることはない」と判断すれば、モチベーションの低下だけではなく、失踪ということもありうるからです。

受入れ事業所と技能実習生のお互いの将来を共有し合うことで、信頼関係と職場定着率を向上させることができるのです。

まとめ

介護技能実習生には日常会話はもちろん、専門知識とリンクした日本語力が求められます。
その習得には時間や根気が必要といえるでしょう。
受入れ事業所は「急がば回れ」の精神で学習支援を積極的にすることで、介護技能実習生の可能性をより広げることができます。

ふれんど協同組合では日本語や日本の文化や働き方などを教育し、技能実習生のメンタルサポートも行っています。
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