育成就労制度で転籍がしやすくなる?|受け入れ企業様が今からできる人材定着の工夫

2026年7月24日   ブログ

育成就労制度では転籍ができるようになると聞いて、不安に感じていませんか。

技能実習生を受け入れている企業様の中には、「時間と費用をかけて育成しても、すぐに別の企業へ移ってしまうのではないか」と心配されている方もいるでしょう。しかし、育成就労制度における転籍は、無条件で自由になるわけではありません。

転籍制限期間の経過に加え、技能水準や日本語能力、転籍先企業の基準など、複数の条件を満たした場合に転籍が認められる仕組みです。この記事では、育成就労制度における転籍の条件を正確に整理し、受け入れ企業様が今から取り組める人材定着の工夫をご紹介します。

育成就労制度の転籍には「転籍制限期間」があります

育成就労制度では、本人の意向による転籍の仕組みが設けられますが、受け入れ企業で働き始めてすぐに転籍できるわけではありません。同一の受け入れ企業のもとで一定期間働くことが、転籍の要件の一つとされています。

分野ごとに1年〜2年の転籍制限期間

育成就労外国人が本人の意向で転籍するには、同一の受け入れ企業のもとで一定期間働いていることが必要です。この期間は「転籍制限期間」と呼ばれ、分野ごとに1年から2年の範囲で設定される見込みです。

2026年7月時点では、介護、建設、工業製品製造業など、技能習得に一定の時間を要するとされる分野では2年、宿泊、農業、漁業など一部の分野では1年とする方向で検討が進められています。

つまり、育成就労制度へ移行したからといって、受け入れ直後から本人の意向だけで別の企業へ移れるわけではありません。一定期間、同じ企業で働きながら、仕事に必要な技能や日本語能力を身につけることが前提となっています。

また、2年の転籍制限期間が設定される分野であっても、受け入れ企業の判断によって1年に短縮できるとされています。ただし、単に期間を短く設定するだけではなく、1年経過後に昇給などの待遇向上の措置を図ることが求められます。

企業様としては、転籍制限期間の長さだけを見るのではなく、育成の進み方と待遇改善をどのように結びつけるかを考える必要があります。1年後、2年後にどのような技能を身につけ、どのように評価や待遇へ反映するのかを早めに整理しておくことが重要です。転籍制限期間の考え方については、出入国在留管理庁が公表している資料でも示されています。

期間の経過だけでは転籍できない

転籍が認められるのは、転籍制限期間が経過した場合だけではありません。一定の技能水準や、日本語能力試験N5相当以上などの日本語能力を満たしていることも要件とされています。

たとえば、分野ごとに設定された1年または2年の期間を働いたとしても、必要な技能や日本語能力の基準を満たしていなければ、それだけで本人の意向による転籍が認められるわけではありません。育成就労制度は、人材を育成し、将来的に特定技能1号の水準へつなげることを目的としているため、在籍期間だけでなく、実際の成長も確認される仕組みとなっています。

転籍先の企業についても、どの企業でも受け入れられるわけではありません。優良な受け入れ企業であることなど、一定の基準を満たす必要があるとされています。また、本人の意向による転籍については、民間の職業紹介事業者を介さずに手続きを進める必要があります。

さらに、転籍によって生じる費用についても、一定のルールに基づいて転籍元と転籍先の企業で按分することが検討されています。実際の負担範囲や手続き方法は今後さらに具体化される可能性があるため、受け入れ企業様だけで判断せず、監理支援機関などへ確認しながら進めることが大切です。

このように、育成就労制度における転籍は、期間、技能、日本語能力、転籍先企業の基準、手続き方法など、複数の条件を確認したうえで認められる仕組みです。「一定期間が過ぎれば、誰でもすぐに別の企業へ移れる」という制度ではないことを理解しておきましょう。

育成就労制度で転籍できるのは同じ業務区分の中だけ

育成就労制度の転籍について考える際は、転籍制限期間だけでなく、転籍できる業務の範囲も理解しておく必要があります。本人が希望し、その他の要件を満たしたとしても、まったく異なる業務区分へ移ることは認められていません。

異なる業務区分への転籍は認められない

育成就労制度で本人の意向による転籍が認められるのは、同一の業務区分の範囲内に限られます。たとえば、農業の業務区分で働いている育成就労外国人が、建設業の業務区分へ転籍することは認められません。

一方で、同じ業務区分に該当し、転籍制限期間、技能、日本語能力、転籍先企業に関する条件などを満たしている場合には、本人の意向による転籍が検討されることになります。

このルールが設けられる理由は、育成就労制度が単なる就職や転職の仕組みではなく、一定の分野で働きながら、計画的に技能を身につける制度だからです。異なる業務区分へ移ることを広く認めてしまうと、それまでに身につけた技能や育成計画の継続性が失われる可能性があります。

そのため、受け入れ企業様は、外国人材が担当する業務と、制度上の業務区分との関係を正しく把握しておくことが必要です。配置転換や担当業務の変更を検討する場合も、企業内の通常の人事判断だけで進めず、制度上認められる範囲であるかを事前に確認することが大切です。

同一業務区分に限定される理由

育成就労制度では、外国人材が日本で働く期間を通じて、特定技能1号の水準に相当する技能を身につけることが目標とされています。そのため、受け入れ企業は育成就労計画を作成し、計画に基づいて技能や日本語能力の向上を支援していくことになります。

本人の意向による転籍が行われる場合も、それまでの育成内容をできる限り引き継ぎ、同じ分野で技能の習得を続けられることが重要です。同一の業務区分に限定することで、転籍後も育成の方向性を大きく変えずに済み、制度本来の目的を維持しやすくなります。

企業様にとっては、「転籍が認められるかどうか」だけでなく、「自社でどのような技能を身につけてもらうのか」「習得状況をどのように確認するのか」を具体的にすることが重要です。業務を教える担当者によって内容が大きく変わらないよう、作業手順や評価項目を整理しておくことも、今後の育成体制づくりに役立ちます。

転籍制限期間中に受け入れ企業ができる人材定着の工夫

転籍への対応を考える際に大切なのは、制度によって転籍を抑えるという視点だけに偏らないことです。外国人材にとっても働きやすく、成長を実感できる環境を整えることが、結果として長期的な人材定着につながります。

日常的なコミュニケーションの機会を増やす

外国人材が職場で感じる不安や悩みは、仕事の内容だけとは限りません。指示の意味が十分に理解できない、質問したいが忙しそうで声をかけにくい、周囲との距離を感じるなど、小さな行き違いが重なることもあります。

こうした問題を防ぐには、トラブルが起きたときだけ話をするのではなく、日頃から短時間でもコミュニケーションの機会を設けることが重要です。「仕事で困っていることはないか」「説明が分かりにくかった作業はないか」など、具体的に尋ねることで、本人も相談しやすくなります。

また、外国人材本人だけに日本の職場へ合わせてもらうのではなく、指導する側も、分かりやすい言葉を使う、作業を見せながら説明する、理解できたかを確認するなどの工夫が必要です。日常的な対話を重ねることで、仕事上の誤解を早い段階で解消しやすくなります。

生活面の不安や困りごとを早めに把握する

外国人材の定着を考えるうえでは、職場での支援だけでなく、生活面への配慮も欠かせません。住居、買い物、交通、行政手続き、医療機関の利用など、日本での生活に慣れるまでにはさまざまな不安が生じます。

勤務地までの移動手段や、食料品・日用品を購入できる場所など、受け入れ前には見えにくかった問題が、実際に生活を始めてから明らかになることもあります。

企業様がすべてを直接解決する必要はありませんが、困りごとを相談できる窓口を明確にし、ふれんど協同組合とも情報を共有することが大切です。問題が大きくなる前に状況を把握し、必要な支援につなげることで、外国人材が安心して仕事に向き合える環境を整えやすくなります。

技能習得の進み方と今後の目標を共有する

毎日の作業をこなすだけでは、自分がどの程度成長しているのか、今後どのような仕事を任されるのかが分かりにくいことがあります。特に育成就労制度では、人材育成が制度の重要な目的となるため、技能習得の進み方を本人と共有することが重要です。

「この作業は一人でできるようになった」「次はこの工程を覚える」「一定の技能を身につけたら担当できる仕事が広がる」など、現在地と次の目標を具体的に伝えましょう。本人が成長を実感できれば、仕事への意欲や将来への見通しを持ちやすくなります。

評価の際は、できていない点だけを指摘するのではなく、できるようになった点も伝えることが大切です。定期的に振り返りの機会を設け、企業側の期待と本人の希望を確認することで、認識のずれを小さくできます。

待遇や評価の仕組みを分かりやすく伝える

給与や昇給、手当、評価方法について説明が不十分な場合、本人が「どれだけ頑張っても待遇が変わらない」と感じる可能性があります。制度上必要な説明を行うだけでなく、何を身につけ、どのような評価を受ければ待遇向上につながるのかを分かりやすく伝えることが重要です。

特に、2年の転籍制限期間を企業の判断で1年に短縮する場合は、1年経過後に昇給などの待遇向上の措置を図ることが求められます。そのため、企業様は制度開始後に慌てて検討するのではなく、技能評価と待遇をどのように結びつけるかを事前に整理しておく必要があります。

評価基準は、国籍に関係なく公平で、本人にも理解できる内容にすることが大切です。説明する際には、必要に応じて通訳や翻訳資料を活用し、本人が内容を正しく理解できているかを確認しましょう。

外国人材にとっても働きやすい職場環境を整える

外国人材の定着対策は、外国人材だけを対象とした特別な取り組みではありません。指示が分かりやすい、質問しやすい、評価基準が明確である、困ったときに相談できるといった職場環境は、日本人を含むすべての従業員にとって働きやすい環境です。

育成就労制度における転籍の仕組みを、企業にとっての不安材料だけとして捉えるのではなく、自社の教育方法や職場環境を見直す機会として活用することもできます。

人材定着には、給与だけでなく、人間関係、仕事の教え方、生活の安心、将来への見通しなど、複数の要素が関係します。一つの対策だけで結果を保証できるものではありませんが、本人の声を聞きながら改善を重ねることで、継続して働きたいと思える職場づくりにつながります。

組合員企業様へ|ふれんど協同組合にできること

育成就労制度の転籍ルールは、分野ごとの転籍制限期間や具体的な手続きなど、今後さらに詳細が確定していく見込みです。ふれんど協同組合では、制度の動向を確認しながら、組合員企業様へ必要な情報を継続してお伝えしてまいります。

育成就労制度と転籍ルールの最新情報を継続して提供

ふれんど協同組合は、外国人技能実習生の団体監理型受け入れを行っている監理団体です。育成就労制度への移行に向け、転籍制限期間や転籍要件、企業側に求められる対応などの情報を整理し、組合員企業様へ分かりやすくお伝えしていきます。

2026年7月時点では、基本方針や分野別運用方針案などが公表されていますが、業務区分ごとの運用や手続きの詳細については、今後変更または追加される可能性があります。そのため、一度確認して終わりではなく、制度開始まで継続して最新情報を確認することが大切です。

企業様がインターネット上の情報だけで判断すると、古い情報や確定前の案を、確定事項として捉えてしまう可能性もあります。自社に関係する変更点が分からない場合は、早めにふれんど協同組合へご相談ください。

企業ごとの受け入れ状況に応じた相談対応

必要な準備は、現在受け入れている技能実習生の人数、分野、入国時期、今後の受け入れ予定などによって異なります。ふれんど協同組合では、組合員企業様ごとの状況を確認しながら、今後想定される対応についてご相談を受け付けています。

「現在受け入れている技能実習生はどの制度の対象になるのか」「育成就労制度で新しく受け入れる場合、何を整えるべきか」「評価や昇給の仕組みをどのように考えればよいか」など、気になる点を一つずつ整理していきましょう。

制度全体を一度に理解しようとすると複雑に感じられますが、自社に関係する項目から確認すれば、準備すべき内容を具体化しやすくなります。

ベトナム・インドネシア・中国からの外国人材受け入れを支援

ふれんど協同組合では、ベトナム、インドネシア、中国からの外国人技能実習生の受け入れを支援しています。育成就労制度への移行後も、決定される制度内容に沿って、組合員企業様と外国人材の双方にとって適切な受け入れ環境を整えられるよう対応してまいります。

外国人材の受け入れは、入国や雇用の手続きを行えば完了するものではありません。現場での教育、日常的なコミュニケーション、生活支援、相談対応などを継続して行うことが重要です。

ふれんど協同組合は、組合員企業様に寄り添いながら、外国人材の受け入れと育成を支援してまいります。

本記事の内容は、出入国在留管理庁が公表している育成就労制度の基本方針・運用方針案に基づいています。制度の詳細は、出入国在留管理庁の公式サイト「育成就労制度について詳しくはこちら」でも確認できます。出入国在留管理庁では、制度概要、関係法令、Q&Aなどの情報も公表されています。

育成就労制度の転籍に関するよくある質問

育成就労制度の転籍について、受け入れ企業様から想定される質問をまとめました。制度の要点を短時間で確認したい方は、以下をご覧ください。

Q. 育成就労制度で転籍は自由になりますか?

A. 完全に自由になるわけではありません。分野ごとに定められた転籍制限期間の経過や、技能・日本語能力の要件など、複数の条件を満たす必要があります。

Q. 転籍制限期間はどのくらいですか?

A. 分野ごとに1年から2年の範囲で設定される見込みです。介護や建設など技能習得に時間を要する分野は2年とされています。

Q. 違う業種への転籍はできますか?

A. できません。転籍が認められるのは同一の業務区分内に限られます。

Q. 転籍を防ぐために企業ができることはありますか?

A. コミュニケーションの機会を増やす、生活面のサポートを行うなど、働きやすい環境を整えることが定着につながります。

Q. まずは何から相談すればいいですか?

A. 現在の受け入れ状況や今後の対応について、まずはふれんど協同組合へお気軽にご相談ください。

育成就労制度の転籍や人材定着はふれんど協同組合へご相談ください

育成就労制度では、一定の条件を満たした場合に本人の意向による転籍が認められる仕組みになります。しかし、転籍制限期間が経過するだけで転籍できるわけではなく、技能水準、日本語能力、業務区分、転籍先企業の基準など、複数の要件があります。

受け入れ企業様に求められるのは、転籍を過度に恐れることではなく、外国人材が安心して働き、技能を身につけられる環境を今から整えておくことです。日常的な対話、生活面の支援、技能目標の共有、公平な評価と待遇改善など、自社で取り組めることから始めていきましょう。

転籍のルールは複雑に感じられますが、一つずつ確認していけば対応できます。まずはお気軽にご相談ください。

ふれんど協同組合

電話:0595-41-0666
営業時間:平日9:00〜18:00
対応可能な送出し国:ベトナム・インドネシア・中国・マレーシア
URL:https://friend-coop.com/

本記事の内容は2026年7月時点で公表されている基本方針・運用方針案に基づく情報です。転籍制限期間や要件の詳細は、分野別運用方針の確定により変更される可能性があります。最新情報は出入国在留管理庁の発表または当組合へご確認ください。

インスタグラム

Instagram