先日(2022年1月28日)、日本で働く外国人労働者が、172万人に達し、過去最大になったというニュースが流れました。
しかしその一方で、「技能実習生」はコロナの水際対策の影響もあり5万人余り減少したそうです。↓
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220128/k10013454331000.html
今回の技能実習生の減少は、コロナの影響による一時的なものでしょうか。
コロナが過ぎればまた増加に転じるのでしょうか。
仮にそうだとして、現時点でコロナ禍の終わりは見えません。
また、岡山で技能実習生への陰惨ないじめ(外国人技能実習生へのいじめの原因と対策)が明るみになったばかりです。
そんな国で働きたいと思う技能実習生がいるでしょうか。
コロナ禍で新たな技能実習生の来日が期待できない今、中途帰国や失踪など望まぬ形でこれ以上、技能実習生を失わない為にどうしたらよいか、
考えていきたいと思います。
なぜ技能実習生が必要なのか
そもそもなぜ技能実習生が必要なのか、減少してしまうと何が問題なのでしょう。
日本は現在、高齢化による労働力不足が加速度的に進んでいます。
パーソル総合研究所の予想によれば、2030年には644万人分の労働力不足に見舞われるそうです。
そうした現状において、日本では技能実習生が労働力不足を補う人材として雇用されている側面があります。
もちろんこれは、「日本での技能習得と、母国への還元」という本来の外国人技能実習制度の意義から外れるものです。
しかし、その是非は今回の記事では問いません。
ここで重要なことは、実際問題として、労働力不足が進む日本において外国人技能実習生が欠くことのできない、貴重な労働力になっているという点です。
技能実習生の減少を防ぐためにできること
前の章でお伝えしたように、技能実習生は、介護や農業関連など、人材不足に悩む業種で数多く活躍しています。
ですから、そうした業種、企業にとって彼らに辞められることは死活問題です。
ではどうしたら彼らに長く働いてもらうことができるのでしょう。
1雇用前の面接でミスマッチを防ぐ
技能実習生が実習途中でリタイアしてしまう理由は様々ですが、その多くが「そもそも企業と実習生の間でミスマッチがあった」という点に集約されます。
技能実習生からしたら、実際働きだしたら「こんんはずじゃなかった」という点が多く、挫折してしまうというわけです。
こうしたミスマッチによる就労意欲低下、途中帰国などを避けるためには、雇用前の面接が大切です。
ここで、企業側は実際の就労環境、条件についてありのままを伝え、技能実習生の意思を確認しましょう。
雇用したいがために、下手に取り繕ってもお互いにとって良いことはありません。
また、就労先が建設現場などの場合、通常の体力テスト以外に、仕事で必要となる力や忍耐を測る、独自の体力テストを実施しても良いでしょう。
もちろん必要以上に技能実習生の不安を煽る必要はありません。
けれど、彼らに実際働いたらどんな大変さが待っているかを想像してもうことは、「こんなはずじゃなかった」を防ぐために大切なことです。
2企業企業側は技能実習生を雇う「コスト」を意識する
さしあたり、目の前の人手不足を解消するため、安い労働力として技能実習生を雇う企業も多いです。
しかし、ここで考えて欲しいのが、「技能実習生を雇うことは本当に安いのか?」ということです。
技能実習生を雇うと監理団体へ月に3~7万円程度、監理費を払う必要が生じます。
それを考えると、人件費は日本人とそう変わりません。
結局、技能実習生が安く雇える、つまり、低賃金であるのは、それ以外でかかったコストを彼らの賃金をカットすることで企業が回収しているからです。
こうした状況が技能実習生の労働意欲を削いでいることは容易に想像がつきます。
世界ではSDGsで、全ての人々に働きがいのある人間らしい雇用をすべきだという目標が掲げられています。
国内でも2020年4月から「同一労働 同一賃金」を定めた労働法の適用が始まりました。
すでに技能実習生を安く雇うという考え方自体が時代遅れになりつつあることを認識すべきです。
3技能実習生にも柔軟な働き方を与える
日本人労働者であれば、どうしてもその職場で働きたくなければ転職することもできます。
しかし技能実習生には原則、転職は認められていません。
確かに企業からすれば、それなりの費用をかけ準備をして雇用した技能実習生にそう簡単に転職されてはたまらないでしょう。
しかし、今までいじめなど様々なトラブルによって、実習途中で帰国したり失踪してしまった技能実習生がどれほどいたでしょう。
もしかしたらそうした彼らも、転職という逃げ道があれば、別の職場で働き続けられたかもしれません。
コロナ禍の現在、受け入れ先企業の経営状態悪化などで、実習が困難になった場合に限り、技能実習生にも他業種を含む転職が認められています。
これを契機に、技能実習生の転職について、改めて議論されることが期待されます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今や、韓国や台湾、欧州で働きたいと思う技能実習生も増えてきています。
何もしなくても技能実習生の方から日本へ来てくれる時代は終わりつつあります。
国際貢献という本来の趣旨としてはもちろん、貴重な労働力としても、技能実習生は日本の企業に欠かせません。
そんな彼らの減少を食い止めるための提案、考え方をお伝えしました。
今回お伝えしたことは即効性のあるものではありません。
しかし、彼らを雇う企業はもちろん、外国人技能実習制度に携わる団体、組織、そして日本全体で考えていかなくてはいけないことといえるでしょう。