技能実習生は今やいろいろな職種で活躍しています。
そして技能実習生を受入れている事業所では、日本人とだけ働いていると想像もすることもできないエピソードがたくさんあります。
今回は業界を問わずにいろいろな会社の「実習生あるある」を、管理担当者から集めてみました!
A社 半導体関係の工場
24時間体制で半導体装置を製造しているA社。
新たな事業を立ち上げることもあり、フィリピンから技能実習生を10人以上、迎え入れることになりました。
仕事に熱心な技能実習生もいれば、サボりグセがある技能実習生も。
ですが日本人の職長はしっかりと部署をまとめていて業務は問題なく、フィリピンの国民性から明るく楽しい職場の雰囲気だったそうです。
同僚の仲もよいフィリピンの技能実習生たちは、誕生日などのお祝いパーティーが大好き!
職場にも慣れてきたころに、現場の職長からの内線が担当者に入ります。
「技能実習生たちが休憩室で鍋をやっているから、ちょっと来て!」
就業時間後なら良いだろうと、ガスコンロや鍋を持ち込んでパーティーを始めてしまったようなのです。
ゴミやホコリを嫌う半導体製造ではクリーンルームの設備もあり、なるべく余計なものは持ち込まないような社内ルールになっていました。
もちろんガスコンロのような可燃物はもってのほかです。
広めの休憩室だったとはいえ、日本人なら鍋パーティーをしようとは思いもしませんよね。
後日、改めて監理団体とともに社内ルールとやってはいけないことを指導することになりました。
B社 建設業
公共工事がメインの地域に根ざしたB社。
「技術を世に広める」という創業理念から3人の技能実習生を受入れたB社は、技能実習生との意識のギャップに最初は苦しむことになったそうです。
「技術を習得して母国で活躍するために来ている」と思っていたB社社長は、技能実習生が出稼ぎ目的であると知ると「金がいいところを見つければ、すぐいなくなるのでは?」と疑うようになってしまいました。
すでに各種費用を支払っているため、経営者として損をしたくないという心理が強く働いてしまったのです。
不幸なことに技能実習生の現地送り出し機関が、技能実習生に説明していた状況とB社の状況に違いもありました。
技能実習生は契約内容の確認や改善をB社や監理団体に要望したのです。
技能実習生の話を聞いた社長は「監理団体と技能実習生と手を組んで自社を騙そうとしているのだ」と被害妄想に取り憑かれ、誰が説明しても聞き入れてくれません。
技能実習生が疑いを晴らそうと思い、社長宛に手紙を書いてもムダでした。
結果として、技能実習生3人のうち2人が環境に耐えられずに失踪してしまいました。
社長の疑いが晴れたのは、残った技能実習生の存在。
社長が「なぜ失踪せずに残っているのだ?」と聞くと「この会社が好きだから」と答えたそうです。
社長は騙されているというのは思い込みだったと気づいたのです。
その後もB社は毎年技能実習生を受入れています。
この会社が好きだといった技能実習生は実習期間を満了して、今では別の母国と日本をつなぐビジネスを行っているとのことです。
C法人 介護老人施設
施設の経営者が将来の労働力について気にしていたことは知っていたという担当者さん。
とはいえ、経営者は技能実習生制度にはさほどノリ気ではなく、通常の新卒や中途採用で対応もできていました。
ところが、取引先との関係で技能実習生の男性2人を受入れるということに突然決定。
介護老人施設のすぐ隣にはアパート型の職員寮が併設されていて、彼らは共同生活をすることになりました。
ネパール出身の彼らははじめ遅刻などはありましたが、すぐにルールに馴染みました。
施設利用者さんからクレームはなく、むしろ可愛がられていたのです。
一方、アパートの近隣クレームはなかなか収まりませんでした。
アパートの周辺にタバコの吸い殻が目立つようになり、技能実習生が捨てているという話でした。
実はネパールはタバコに寛容な文化で、喫煙年齢が法律で定められてないとも言われています。
年々禁煙の場所は増えていますが「タバコは当たり前」の感覚が根強いのです。
アパートは室内禁煙だからと室外で吸っていたようですが、周辺住民の目もあり、粘り強い指導が続くことになりました。
医療機関は敷地内は全面禁煙というルールが主流でもあるので、2人は少しずつタバコの量を減らしてゆき、今では辞めているようです。
D社 プラスチック部品の加工会社
プラスチック部品の製造(射出成形)を行うD社は自社海外拠点や取引先との関係もあり、技能実習生を受入れているそうです。
自社の海外拠点がある国から受入れているため、技能実習生の受入れでは大きなトラブルはなく、入国後も技能実習生が働きやすい製造工程の見直しや書類整備も順調でした。
そんなD社でも上手くいかないのが「日本の常識」です。
技能実習生がすぐに分かってくれることもあれば、全然ダメなこともあります。
D社を悩ませ続けているのが「トイレットペーパーの芯」
トイレットペーパーが使い終わったら芯はゴミ箱に捨てますよね。
めんどくさがりの従業員は床に転がすこともあるかもしれません。
ですが、D社の技能実習生たちはトイレットペーパーの芯を流してトイレを詰まらせてしまうのです。
水洗式ではないトイレ文化では「トイレはゴミを捨てる場所」という考えも強いようです。
日本でもガムを捨てないでという注意貼り紙がされていることがありますが、習慣や考え方を変えるのは時間がかかるようですね。
まとめ
今回は4社の企業担当者からお話を聞きました。
おもわず笑ってしまう話もあれば、深刻なケースまでさまざまでした。
技能実習生を受入れる難しさは「文化の違い」です。
お互いの不理解や誤解が広がって、不幸な結果になってしまうこともあります。
ふれんど協同組合では技能実習生と受入れ事業所をつなぐサポートにも力を入れています。
文化の違いからくるトラブルは、会社側では解決できないケースも多くあるからです。
もし技能実習生制度へのご相談や関心がありましたら、まずはお気軽にお電話またはメールフォームから問合せください!