技能実習生から介護福祉士を目指すには?

2022年8月30日   ブログ

介護分野での技能実習生の存在感は増し続けています。
介護の現場からすれば自然と「介護福祉士の資格は取得できるのか」と疑問ですよね。
介護福祉士の資格があれば本人だけではなく、施設経営者としてもメリットがあります。

そこで今回は、技能実習生が介護福祉士を取得する方法について学びましょう。

介護福祉士を取得するメリット

介護分野で唯一の国家資格が介護福祉士です。
医療の知識を求められる一方で、介護の知識も求められます。
専門的で広い分野をカバーするので利用者の相談、サービス提供責任者、他の職員の管理業務でも活躍します。

本人は介護福祉士を取得することで給料が上昇するともに、永続的な就労も可能でキャリアアップし易くなります。
国や行政の補助金対象になりやすいのも魅力的です。
施設としては現場の戦力としてだけではなく、配置基準など経営上の問題にも対応できます。

外国人が介護福祉士を取得する3つの方法

実務経験を積む

技能実習生として日本に入国した場合、介護福祉士の資格を積むには実務経験を積む方法しか無いと言ってよいでしょう。
この方法は日本人が介護福祉士を取得するのと同じ方法です。

受験資格を得るには実務経験3年と実務者研修を修了の両方を満たす必要があります。
実務経験は正確には従業期間が1,095日以上かつ従事日数が540日以上です。
従事日数には有給や研修などが含まれないので注意が必要です。
実務期間は雇用形態の違いは影響がないので技能実習生でもクリアすることができます。

実務者研修は20科目450時間と最短でも半年程度学習が必要となります。

EPA(経済連携協定)で入国する

経済交流として国家資格を取得することを目的として日本に入国します。
介護施設などで研修を受けて経験を積みながら勉強もします。

現在ではベトナム、インドネシア、フィリピンの3カ国のみ。
筆記試験の試験時間が1.5倍と優遇処置もあります。

留学制度で入国する

介護福祉士の専門学校(2年以上)で知識や技能を習得したあとに、介護福祉士試験に合格する方法です。
制度移行による救済処置として、令和8年度までに卒業した場合、卒業後5年間は介護福祉士として働くことができます。

さらに、この5年間継続して勤務した場合は試験に合格しなくても資格取得が認められています。

技能実習生から特定技能1号に移行する必要がある

実務期間の3年を満たすと技能実習1号(1年間)と技能実習2号(2年間)の期間が経過してしまいます。
その次の在留資格は技能実習3号(2年間)または特定技能1号(5年間)の可能性があります。

しかし、技能実習3号は基準が厳しいことから特定技能1号への移行を選択することが多いようです。
特定技能1号の5年間の間に介護福祉士の資格を取得することになるでしょう。
技能実習生から介護福祉士を目指す場合、「8年間」のリミットがあるということになります。

高い日本語力が必要になる

技能実習生から介護福祉士を目指す方法は日本人と同じ条件です。
EPAのように試験時間の優遇はありません。
漢字にふりがなは振られていても問題は全て日本語です。

そのため介護福祉士の試験に合格するには日本語能力はN2レベルが必要とされています。
新聞や雑誌を読むことができ、小説などの表現を理解できる水準まで習得していないと難しいと言えるでしょう。

日本人でも慣れないと理解ができない専門用語、法律、表現方法も多い介護福祉士の問題では大きな壁となります。

周りからの勉強の支援が必要

技能実習生が実習を通して学ぶことは多岐に渡ります。
他の職種で学ぶ内容よりも高度でボリュームも多いと言えるでしょう。
高齢者を対象とする施設であれば日本文化についても深く理解する必要があります。

日本人であっても介護福祉士の試験勉強は3ヶ月から6ヶ月を継続する必要があります。
さらに実務者研修は20科目450時間で修了なので短期間で身につけることは不可能です。
多くの技能実習生が日本語の習得だけで手一杯な中、さらに介護福祉士を取得するには周りのサポートが不可欠です。

しかし、日本では勉強熱心な人に冷ややかな傾向が見られます。
「勉強するくらいなら仕事しろ」と言われたという話もあります。
実習期間が限られている技能実習生を労働力として捉える人は傾向が強いのではないでしょうか。

自分の成長に積極的な技能実習生は業務でも優秀なことが多いことを忘れてはいけません。
目的意識がハッキリしている技能実習生のモチベーションを削ぐことは、自分たちの首をしめることに繋がります。

まとめ

技能実習生から介護福祉士を取得するには、実務経験を積む必要があります。
試験を受けるときには技能実習3号か特定技能1号の状態でしょう。
日本人と同じ条件で試験を受けなければならないので困難な道ではあります。

ですが、資格を取得できれば日本でずっと働きつづけることもできます。
施設側としても長期目線で見ればメリットは大きく、技能実習生のモチベーションを維持するのも楽になるでしょう。

ふれんど協同組合では日本で介護を学んで成長したいという技能実習生と施設とを結びつけるお手伝いをしています。
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