技能実習生の健康管理、どんなことに気を付ければいいの?

2022年9月15日   ブログ

従業員を雇用していると事業者には「健康管理の義務」が発生し、技能実習生も雇用契約を結んでいるので対象となります。
では、技能実習生を受け入れている事業者はどのような点を注意すればよいのでしょうか?

入国前にも健康診断や検査は行われている

技能実習生を受け入れる費用の内訳に、入国前の健康診断費用が記載されていることがあります。
母国の面接試験中や採用後には、技能実習生に病気やケガがないか健康診断で確認しているからです。

もし、健康診断で異常があれば不採用となってしまいます。

日本に来てから健康問題が発覚すると、大きなトラブルになりかねません。
本人が体調を崩して働けない場合は、治療費をまかなうことができなくなってしまうからです。

また、入国前の健康診断とは別に体力測定をすることもあります。
基礎体力や重量物を扱うことができるかなどあらかじめ確認することで、技能実習開始後に肉体的に仕事についていけず体調を崩してしまうことを防げます。

また、特定の国から入国する場合にはあらかじめ指定された検査をしなければなりません。
例えば、結核について感染するリスクがあるかを胸部X線撮影で検査して証明書をもらう必要があります。
技能実習生は日本にはない感染症を持っていることや、日本の感染症に免疫がないこともあります。
入国後には混合ワクチン接種をするとよいでしょう。

雇入れ前の健康診断

日本入国後には雇入れ時健康診断が行われます。
労働安全衛生法に定められたもので配属前後3ヶ月以内に必ず行わなければなりません。
母国で行われていたとしても、あらためて日本の医療機関でも必要なので注意しましょう。

事業所に配属前の教育期間中に講習センター側で健康診断を行うこともできます。
もちろん、配属後に事業者が手配することもできます。
手間や費用を比較して考えるとよいでしょう。

定期健康診断

年に2回受ける必要もある

年に1回、事業所に義務付けられている定期健康診断は技能実習生も対象です。
定期健康診断の項目は11項目定められています。

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
  • 胸部エックス線検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  • 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  • 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  • 血糖検査
  • 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  • 心電図検査

その他にも夜間勤務を週に1回または月に4回以上行わせている場合や、有害業務を行わせる場合には半年に1回必要です。
費用は全額事業所が負担なので技能実習生に負担させることは違法。

また、健康診断の結果を受けて、作業内の変更などの措置をしなければならないこともあります。

母国語が書かれた問診票を用意する

技能実習生には仕事や日常的な言葉は分かっても健康診断で使われる日本語は伝わりにくいことがあります。
技能実習生が正しく理解して自分の身体の状況を伝えるのには母国語の問診票は欠かせません。

厚生労働者でも「外国人労働者に対する健康診断」として各国の言葉を記載した問診票をWEBサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyousei/anzen/index.html

)で公開しています。
受診する医療機関によってはそのまま利用できないこともありますが理解の助けにはなるでしょう。

 


▲厚生労働省 「外国人労働者に対する健康診断問診票 タガログ語版」抜粋

慣れない土地だと体調も崩しがち

健康診断といっても万全ではありません。
母国と天候や食生活の違う日本で暮らすことは常にストレスが掛かっているといえます。
精神的にも肉体的にも疲労を感じやすく、風邪などで体調を崩しやすいのです。

事業所としては積極的に技能実習生の体調の変化に気を配りましょう。
体型の変化や表情や挨拶など毎日のちょっとした反応の違いから気づくこともできます。
メンタルヘルスの場合には50人以上の事業所で義務となっているストレスチェックを活用したり、定期的なアンケートをとって技能実習生からの発信を促したりするのもポイントです。

生活習慣そのものへの指導も必要

「母国の家の周りには田んぼしかありませんでした」
「電気、ガス、水道もありません」
そんな技能実習生が日本に来ると生活習慣が大きく乱れてしまうこともあります。

お酒、タバコなど嗜好品は日本では手軽に安く手に入れることができます。
法律や宗教でも諸外国ほど厳しいとは言えません。
20代が多い技能実習生はつい羽目を外してしまうということも少なくないのです。

また、ジャンクフードなど食習慣の乱れも見過ごすことはできません。

手洗いや歯磨きなど日本では当たり前のことも文化によっては定着していないこともあります。
少なくとも10年前頃はミャンマーでは歯ブラシが家族で1本ということもほとんどでした。
そういった地域では歯医者も居ないので正しい磨き方を知ることもできません。
そんなことまで教えるの?と思うかもしれませんが、健康維持は小さなことの積み重ねが大切なのです。

まとめ

技能実習生には入国前に健康診断や感染症などの検査が行われることもあり、入国後も定期的に健康診断が行われます。

しかし慣れない環境、食べ慣れない食事、新しい文化は技能実習生の健康に大きな影響を与えるでしょう。
受け入れる事業所は積極的に技能実習生の見て寄り添ってあげることが大切です。

ふれんど協同組合ではさまざまな地域から日本にやってくる技能実習生への関わり方について相談や支援をしています。
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