本当に増えている?外国人犯罪の実態!

2023年2月27日   ブログ

日本で働く外国人が増えることでもっとも心配するのは治安の悪化です。
「車が盗難された」などニュースで流れて犯人が外国籍だと「またか…」と思ってしまうのではないでしょうか?
しかし、印象だけで判断するのは危険です。
今回はそんな外国人の犯罪についての実態を見ていきましょう。

全体に占める外国人犯罪の割合


▲令和2年版 犯罪白書「外国人による刑法犯 検挙件数・検挙人員の推移」より

刑法犯全体に占める外国人の割合は約5%です。
一方、総人口に占める外国人の割合は2.2%と差があります。
外国人は日本人より2倍以上も犯罪をする危険な存在に感じますよね。
この外国人犯罪割合には「日本にずっと住んでいる外国人」も「働くために来ている外国人」「犯罪目的で日本に来て短期間で帰国する外国人」も含まれています。
それらを分けていくと、日本で働いているような外国人の犯罪率は極端に高いとまでは言えません。
さらに、平成18年から外国人の犯罪検挙件数は低下を続け、平成25年以降は横ばい状態です
どんどん外国人が増えていても、外国人犯罪が増加しているわけではありません。
事実とは違って、外国人=治安の悪化は先入観だということが分かります。

犯罪にはどんな傾向があるの?


永住者や在日米軍を除いた外国人と日本全体の刑犯罪のトップ3は以下のとおりです。

【外国人】
1位 窃盗             57.0%
2位 傷害・暴行   12.7%
3位 詐欺                 9.5%

【日本全体】
1位 窃盗             48.9%
2位 傷害・暴行   24.1%
3位 横領                 6.9%

外国人は窃盗が約10%多いのが特徴と言えますが、大きな傾向に違いはありません。
むしろ傷害・暴行は少ないと言えるでしょう。

国によって違いがあるの?


まず、令和2年度での日本に住んでいる全ての外国人を見てみましょう。
外国人は都道府県や市町村によっても傾向があるため、自分が住んでいる地域と違うという印象を持つ人もいるかもしれませんね。

1位        中国             78万人
2位        ベトナム    44万人
3位        韓国・朝鮮   43万人
4位        フィリピン   28万人
5位        ブラジル       20万人

そして、外国人の犯罪は国別に特徴もあります。
以下の数字は外国人の3割にあたる永住権を持っている人などは含まれないので、単純比較できない点には注意してください。

【刑犯罪(全体)の検挙人員】
1位 ベトナム   35.9%
2位 中国    23.0%
3位 フィリピン    6.5%

8位  スリランカ   2.1%

【刑犯罪(侵入窃盗)の検挙件数】

1位 中国          35.7%
2位 韓国      22.5%
3位 ベトナム     14.9%

【刑犯罪(万引き)の検挙件数】

1位 ベトナム    60.5%
2位 中国      14.0%
3位 ブラジル    14.9%

【刑犯罪(自動車窃盗)の検挙件数】

1位 スリランカ    44.8%
2位 ルワンダ     17.2%
3位 ブラジル        15.5%

全体としてベトナム人の犯罪件数の多さが目立ちます。
ただし、ベトナム人は万引きが多く軽犯罪の件数が多い傾向です。
一方、被害金額が大きい自動車盗難の検挙件数はスリランカが44.8%で、2位のルワンダ17.2%大きな差があります。
刑犯罪(全体)の検挙人員ではスリランカ人は2.1%しかいないことからも、犯罪性の高さが想像できます。
また、永住者、留学生、労働者など在留資格や国籍によって傾向は違います。
不当滞在者かどうかも考慮しなければなりません。
「外国人」と一括りにすると、大切な視点を失うことになってしまいます。

技能実習生が占める割合


外国人犯罪は正規滞在者不法滞在者に分かれています。
正規滞在者の検挙者数は約6割で技能実習もこの中に含まれます。
正規滞在者のうち約17%が技能実習生のものです。
日本で生活する外国人のうち、技能実習生数も約18%なので、技能実習生の犯罪件数が多いわけではありません。
そして、技能実習生は「窃盗犯が約60%」という特徴があります。
窃盗犯といっても侵入窃盗のように犯罪性が高いものは約1.6%であり、比較的悪質性が低いものが多いと考えられるでしょう。
参考として留学生を見てみましょう。
学ぶという趣旨で共通している留学生ですが、窃盗犯は約35%、詐欺や偽造が12%と高いのとは明確に違います。

ベトナム人の犯罪増加は本当、でも理解には注意!


2021年4月の読売新聞には「来日外国人の摘発1万1756人、ベトナム人が初の4千人超…技能実習生の解雇も影響」という見出しとなっています。
この見出しは事実を書いていますが、先に述べた通り外国人犯罪が統計で横ばいでも「外国人=危険」というバイアスがかかりがちです。
「外国人犯罪は増加しているに違いない」
「ベトナム人は危険だ」
「技能実習は犯罪の温床?」
「不当滞在者が増えて治安が悪化する」
このように考えてしまうのは自然かもしれませんが、事実はどうでしょうか?
細かく見ていくと検挙された理由は「不当滞在状態」が6割です。
新型コロナウイルスの影響を考慮すると、消極的な犯罪と考えられます。
不当滞在が将来的に治安悪化に繋がる可能性はあっても、ベトナム人が強盗など積極的に犯罪を行っているという理解は正しくないと言えるでしょう。

技能実習生が犯罪を起こす理由とは?


外国人全体では中国人の1位ですが、技能実習生に限定するとベトナム人が最多です。
そして、技能実習生として日本に来たベトナム人が、万引きのような犯罪を多く犯していると考えられます。
では、何故そういった状況に置かれているのでしょうか?
万引きのように身近な犯罪に集中しているため、自動車窃盗のような犯罪ビジネス的な要素よりも、経済的困窮の側面のほうが大きいのがヒントになるでしょう。
日本に来日するため借金を背負って来る技能実習生は多く、約100万円以上を支払うことになります。
日本に3年間滞在すると想定すると月々の返済額は約28,000円。
一方、給料が最低賃金基準だと手取りは10万円前半にしかなりません。
家賃など生活費、母国への仕送りを入れると厳しい生活となります。
とくに母国の経済発展による物価高や為替影響による給料の目減り、新型コロナウイルスによる収入減は深刻です。
技能実習生は母国ではしっかりとした学歴を持ち、本来は犯罪と縁が遠い人格であることも少なくありません。
しかし、日本の環境が犯罪を後押ししてしまっているとも言えるのではないでしょうか?

まとめ


「外国人=犯罪」は思い込みであり、統計からは外国人は増えているのに犯罪は減少しています。
起きた犯罪も国籍や属性によってさまざまで「外国人」と一括りにして議論することは現実的ではありません。
技能実習生も犯罪率が高いとは言えません。
しかし、ベトナム人技能実習生の増加に起因した犯罪は増加しています。
しかし、組織的なものではなく経済的な理由が強く、環境改善によって減少する可能性があるでしょう。

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