自然災害が起きたら…技能実習生への備えはどうすればいいの?

2023年3月13日   ブログ

阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模地震、毎年やってくる台風、集中豪雨など日本は自然災害が発生しやすい国です。
ひとたび災害が起これば、国籍に関係なく被災することになります。
しかし、日本で数年しか生活していない技能実習生にとって、災害は日本人以上に不安で困難なものになります。
今回は技能実習生と災害の備えについて見ていきましょう。

技能実習生と災害の実態とは?

災害そのもののリスクが分からない

技能実習生が生まれた国によっては、災害自体がないということもあります。
例えば、母国に海がなければ津波被害を受けることはありません。
技能実習生が来日し、海岸近くで生活していて津波リスクがあったとしても、それがどれだけの被害をもたらすか知らなければ行動は起こしにくいでしょう。
日本人にとって日常とも言える地震も、技能実習生にとっては大きな恐怖となります。
しかし、「地面が揺れているそのもの」が怖いのであって、その後に起こる被害にまで想像が及んでいないことも少なくありません。

基礎知識がない

日本では幼い頃から避難訓練など教育を受けています。
ハザードマップや避難場所の冊子が配布されるなど、災害対策が根付いていると言えるでしょう。
日本で育った場合「避難してください」「災害が起きました」と聞けば、多くの人が適切に行動することができます。
避難所には食料や毛布などが備蓄されていることもあります。
救援物資が送り届けられたり、はぐれてしまった家族や知人と合流したりと拠点として機能します。
しかし、一般的な外国人の場合はそもそも避難所に行くメリットが分かりません。
避難所に行きたくても、安全に避難する方法を知らないのです。

言葉が分からない

技能実習生は日常的な日本語は理解できても、新聞やニュースなどの硬い日本語は理解しにくいでしょう。
漢字に苦手意識が強い技能実習生が多いなか、災害時に使われる日本語は漢字ばかりです。
「避難」「不通」「余震」「救援」などの漢字は意味を理解できないかもしれません。

技能実習生向けの災害訓練

疑似体験する機会を作る

百聞は一見にしかずという言葉のように、五感を使った体験は文字や映像と比べ物にならない効果があります。
日本では災害を擬似的に体験できる施設や、防災イベントが開催されています。
地震の揺れを再現できる自動車を体験した人もいるのではないでしょうか。
また、実際に災害が起きた地域を訪れて、災害前と後の光景を比べてみるのもよいでしょう。

基本動作を教える

地震が起きたら安全な場所に身を隠したり、火の処理をしたりなど災害時に何をすべきかを教えましょう。
定期的に訓練していないと体が動かないので、受入れ企業全体の行事にすることも良い取り組みの一つです。

避難のシミュレートをする

地震のように災害発生後に行動が始まるものと、台風や豪雨災害のようにあらかじめ避難行動できる場合があります。
災害の種類やタイミングで判断は変わってもきます。
また、避難するときには予想外のトラブルも起きるでしょう。

  • 地震で家のドアが開かない
  • 道路が水没している
  • 渋滞で車が進まない

実際に発生したときにどのように判断するのか、どのような荷物や道具を持っていくべきなのかも問題となります。
避難場所やルートの確認だけではなく、もし〇〇だったら?という想定も忘れてはいけません。

日本語の教育をする

地方自治体では技能実習生のように生活している人や外国人観光客向けに、やさしい日本語や英語での案内をする対策がされてきています。
ですが、情報量や速さではフォーマルな日本語が勝ります。
避難訓練や安全衛生教育の場などを活用して、災害時でよく使われる日本語の教育を行うようにしましょう。

アプリやツールで災害に備える

情報を集める方法

技能実習生がほとんどの場合持っているのがスマホです。
災害時にも情報収集の重要アイテムになるでしょう。
この時役立つのが、「Safety tips」というアプリです。
観光庁の監修で開発された無料のアプリで、災害情報を知ることができるだけではなく日本語で救助を求めたり、避難所を確認できたりします。
2023年3月現在、日本語、英語、中国語(繁・簡)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、タガログ語、ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語の14言語で提供しています。
また、18言語でニュースを配信する「NHKワールド」 https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ もオススメです。

安否確認できるようにする

災害時には受入れ企業側が対応できないことを想定して、技能実習生本人が判断して行動することが求められます。
しかし、安否確認はしなければなりません。
受入れ企業としてはあらかじめ緊急連絡先の共有や、対応手順を決めて置くことが大切です。
それをサポートするために、安否確認アプリを使うのも効果的でしょう。
震度5以上など一定のレベルを超えた災害が起きたときに、自動的に安否や状況把握のための通知やメールが発信されます。
受入れ企業がスムーズに状況把握できれば、技能実習生のフォローにも向かいやすくなるでしょう。

受入れ企業がフォローする

受入れ企業が日本人とあいだを繋ぐ必要

大きな災害になればなるほどデマ(誤情報)が飛び交います。
不安な状況になるほど「外国人」への誤解による排除や差別が発生することもあります。
技能実習生の日本語レベルが低いほど、日本人側の対応は冷たくなることも想像できるでしょう。
長い避難所生活を続けていると、精神的な余裕がなくなるので悪影響も大きくなります。
ですが、地元企業に所属している技能実習生だと分かると安心感を持ってもらえます。
さらに受入れ企業の担当者などがフォローに入れれば、トラブルを減らすことができるでしょう。

技能実習生に情報提供を行う

外国人向けに国や地方自治体が支援制度を提供してくれることがあります。
NHKニュースなどの情報は比較的技能実習生にも伝わりますが、地域に密着した情報は届きにくい可能性があります。
また、情報提供だけではなく、生活必需品の支援なども必要になるでしょう。

まとめ

技能実習生によっては地震や津波のように母国にはない災害があります。
母国にある災害でも、日本で生活している地域がどのような災害が起こるかは知らなければなりません。
災害は備えによって生死が左右されます。
定期的に疑似体験や学習を実施したり、スマホのアプリを活用したりと、技能実習生が1人でも行動できるようにしましょう。
そして、災害時には受入れ企業も可能な限り技能実習生をフォローすることが大切です。

ふれんど共同組合では技能実習生が日本で生活する上で大切な事項の教育や支援を行っています。
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