「技能実習生の賃金は、どのように設定すればよいのか」「三重県の最低賃金が改定された場合、技能実習生の給与も見直す必要があるのか」と迷われる企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。技能実習生の賃金についても、日本国内で働く以上、最低賃金をはじめとする労働関係法令を正しく理解したうえで設定することが重要です。
技能実習制度は、技能移転を通じた国際貢献を目的とする制度です。技能実習生を安価に雇用するための制度ではありません。
この記事では、三重県で技能実習生を受け入れている、または今後受け入れを検討している企業様に向けて、最低賃金、産業別(特定)最低賃金、割増賃金など、賃金設定で特に確認しておきたいポイントをふれんど協同組合が分かりやすく解説します。
※本記事の最低賃金に関する情報は、2026年8月17日時点で確認した公表情報および2026年度の答申内容をもとにしています。最低賃金は改定されるため、実際の賃金設定時には三重労働局などの最新情報をご確認ください。
技能実習生にも最低賃金法は適用される|賃金設定の基本ルール
まず押さえておきたいのは、技能実習生も最低賃金法の適用対象であるという点です。「外国人だから」「技能を学ぶ実習生だから」という理由で、日本人とは異なる最低賃金の基準を設定できるわけではありません。
技能実習生も最低賃金の対象になる
技能実習生は、日本人労働者と同様に最低賃金法の適用対象となります。また、技能実習生については最低賃金の減額特例の対象にはならないため、受け入れ企業様は適用される最低賃金以上となっているかを確認したうえで賃金を設定する必要があります。
三重県内の企業で技能実習を行う場合には、三重県で適用される最低賃金を確認することが基本です。
ここで重要なのは、技能実習制度を「低い賃金で人を雇用する仕組み」と捉えないことです。
技能実習制度は、日本で培われた技能等を修得してもらい、その技能を母国へ移転するという国際貢献の考え方を持つ制度です。ふれんど協同組合でも、この制度本来の趣旨を大切にしながら、組合員企業様による適正な受け入れを支援しています。
最低賃金を下回る契約は双方が合意していても認められない
企業様が注意したいのは、雇用する側と技能実習生本人の双方が給与額に納得していたとしても、最低賃金を下回る契約がそのまま認められるわけではないということです。
最低賃金を下回る賃金を定めた場合、最低賃金を下回る部分は無効となり、適用される最低賃金以上の賃金を支払う必要が生じます。
「本人に説明して同意してもらったから問題ない」という考え方ではなく、まず法令上適用される最低賃金を確認することが大切です。
給与を月給で設定している場合など、最低賃金との比較方法について判断に迷うケースでは、自己判断だけで進めず、三重労働局など関係機関の最新情報を確認することが推奨されます。
「技能実習生だから低い賃金でよい」という考え方は誤り
技能実習生を受け入れる際には、賃金の金額だけではなく、制度そのものに対する企業側の理解も重要です。
「技能実習生なら日本人より低い給与でよい」「人件費を抑えるために技能実習制度を利用する」といった考え方は、制度本来の趣旨とは異なります。
技能実習生は企業の現場で技能を学びながら働きます。受け入れ企業様には、適切な賃金を設定することに加えて、技能を習得できる環境を整え、本人が労働条件を理解できるよう丁寧に説明していく姿勢が求められます。
適正な賃金設定は法令への対応という意味だけではありません。技能実習生と企業の信頼関係を築き、安心して技能実習に取り組める環境をつくるための基本でもあります。
三重県の技能実習生の賃金を考える基準|最低賃金はいくら?
三重県で技能実習生を受け入れている企業様は、現在適用されている最低賃金と、今後予定されている改定を分けて理解する必要があります。特に2026年度については答申段階の金額があるため、「現在の最低賃金」と「今後の予定額」を混同しないよう注意しましょう。
現行の三重県最低賃金は時給1,087円
2026年8月17日時点で、三重県の地域別最低賃金は時給1,087円です。
この金額は2025年11月21日に発効しています。三重労働局は、三重県内で働くパート・アルバイトを含むすべての労働者に適用されることを案内しています。技能実習生についても最低賃金法の適用対象となるため、企業様は現在の給与設定が適用される最低賃金を下回っていないか確認しておくことが重要です。
最低賃金は改定されることがあります。そのため、技能実習生を受け入れた時点だけ確認して終わるのではなく、改定時期には改めて最新額を確認する運用にしておくことが推奨されます。
2026年度は時給1,143円への引き上げが答申されている
2026年度については、三重県の地域別最低賃金を時給1,143円へ引き上げる答申が示されており、2026年10月1日の発効が予定されています。
ただし、ここで特に注意していただきたいのは、記事執筆時点では1,143円は答申額であり、予定されている金額として扱う必要があるという点です。
2026年度の中央最低賃金審議会では、2026年7月28日に地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられています。三重県を含む各地域では、この流れを受けて最低賃金の審議が進められます。
したがって、本記事では「2026年10月1日から確実に1,143円になる」と確定事項として扱うのではなく、2026年度の答申額として1,143円、2026年10月1日発効予定と整理します。
1,143円は答申段階|正式な確定額は三重労働局で確認する
最低賃金については、実際に給与計算や雇用条件を見直す時点で最新情報を確認することが重要です。
特に今回の1,143円については答申段階であるため、正式な発効に関する情報が公表された際には、三重労働局の公式サイトで改めて確認してください。
三重労働局では、地域別最低賃金だけでなく、三重県内の特定(産業別)最低賃金についても情報を公開しています。
最低賃金の改定を見落とさないためにも、給与担当者や経営者が定期的に公的機関の情報を確認できる体制を整えておくと安心です。
技能実習生の賃金は地域別最低賃金と産業別最低賃金の高い方を確認
技能実習生の賃金を設定するとき、「三重県の最低賃金だけを見ればよい」とは限りません。企業が行っている事業によっては、地域別最低賃金に加えて産業別(特定)最低賃金が関係する場合があるためです。
地域別最低賃金と産業別(特定)最低賃金の違い
地域別最低賃金は、その都道府県内で働く労働者に広く適用される最低賃金です。一方、特定の産業については、地域別最低賃金とは別に特定(産業別)最低賃金が設定されている場合があります。
ふれんど協同組合の組合員企業様にも、農業、製造業、介護、建設、自動車整備など、それぞれ異なる事業を営む企業様がいらっしゃいます。
そのため、技能実習生を受け入れる際には、「三重県内だから地域別最低賃金だけを確認する」という考え方ではなく、自社の事業や技能実習生が従事する業務について、特定(産業別)最低賃金の対象となるかも確認することが大切です。
三重県内の特定(産業別)最低賃金については三重労働局が情報を公開しているため、最新情報を確認することが推奨されます。
両方に該当する場合は高い方の最低賃金が適用される
地域別最低賃金と産業別(特定)最低賃金の両方に該当する場合には、高い方の最低賃金を適用する必要があります。
ここは技能実習生の賃金設定で見落としたくないポイントです。
地域別最低賃金を上回る給与を設定していたとしても、自社に適用される産業別最低賃金がそれより高ければ、確認すべき基準は高い方になります。
そのため、「三重県の地域別最低賃金を超えているから問題ない」と金額だけで判断するのではなく、自社に適用される最低賃金そのものを確認することが重要です。
自社がどの最低賃金の対象になるか事前確認が大切
技能実習生を新たに受け入れる場合には、雇用条件を決定する段階で、自社に適用される最低賃金を確認しておくことが推奨されます。
また、すでに技能実習生を受け入れている企業様についても、最低賃金が改定されるタイミングで給与設定を確認すると安心です。
自社が産業別最低賃金の対象になるのか判断が難しい場合や、どの最低賃金を基準にすればよいか分からない場合には、三重労働局など関係機関へ確認してください。
「以前からこの給与だから」「入社時には最低賃金を上回っていたから」という理由だけで継続せず、最新の最低賃金と照らし合わせて確認することが、適正な受け入れにつながります。
技能実習生の割増賃金・同一労働同一賃金も忘れずに
技能実習生の賃金管理では、最低賃金だけを確認すれば終わりではありません。時間外労働や休日労働が発生する場合の割増賃金、さらに日本人従業員との待遇の考え方についても整理しておく必要があります。
時間外労働・休日労働には割増賃金が必要
技能実習生が時間外労働や休日労働を行った場合には、日本人労働者と同様に割増賃金の支払いが必要です。
「技能実習だから残業代の扱いが異なる」というものではありません。
実際に、ふれんど協同組合の公式サイトでも、技能実習生には労働基準法が適用されることを案内しています。技能実習生の受け入れ企業様は、通常の賃金だけでなく、勤務時間の把握や時間外・休日労働に対する賃金についても適切に管理することが重要です。
給与計算を担当する方だけに任せるのではなく、現場で勤務時間を管理する担当者とも情報を共有し、実際の勤務状況と給与計算にずれが生じないよう確認できる体制を整えることが推奨されます。
日本人と同じ業務を行う場合の待遇にも注意する
賃金や待遇を考える際には、同一労働同一賃金の考え方にも注意が必要です。
厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間にある不合理な待遇差を解消するための考え方が示されています。
技能実習生についても、日本人と同じ業務を行う場合に、技能実習生であることだけを理由として待遇に不合理な格差を設けないよう注意する必要があります。
ただし、具体的な待遇差が合理的かどうかについては、業務内容や責任、雇用条件など個別の事情によって判断が必要になる場合があります。判断に迷う場合は、関係機関や専門家へ確認することが推奨されます。
給与だけでなく労働条件全体を分かりやすく説明する
企業側では正しく給与を計算しているつもりでも、技能実習生本人が給与の仕組みを理解できていなければ、不安や誤解につながることがあります。
そのため、基本となる賃金だけでなく、勤務時間や給与計算に関係する労働条件についても、本人が理解できるよう丁寧に説明することが大切です。
「いくら支給されたか」だけではなく、「どのような条件で働き、どのように賃金が支払われるのか」を本人と企業の双方が理解している状態をつくることが、安心して技能実習を続けられる環境づくりにつながります。
正しい賃金設定は技能実習生にも企業にも信頼をもたらす
技能実習生の賃金を適正に設定することは、法令への対応という側面だけでなく、技能実習生と企業との信頼関係を築くうえでも重要です。制度の目的を正しく理解し、技能を学ぶ人材として尊重することが、適正な技能実習の第一歩になります。
技能実習は安価な人材を確保するための制度ではない
「技能実習生は安く雇える」という認識は誤りです。
技能実習制度は、技能等の移転を通じた国際貢献という目的を持った制度であり、単純に人件費を抑えるための制度ではありません。
ふれんど協同組合でも、技能実習生を単なる人手として捉えるのではなく、日本の企業で技能を学び、その経験を将来につなげてもらうという制度本来の考え方を大切にしています。
受け入れ企業様にとっても、制度の趣旨を理解したうえで適正な賃金や職場環境を整えることは、技能実習生との信頼関係を構築するうえで大切な取り組みです。
技能移転・国際貢献という制度本来の目的を大切にする
技能実習生の受け入れでは、「何人受け入れるか」だけではなく、「何を学んでもらうか」という視点が重要です。
現場で技能を教え、仕事の進め方を伝え、日本での職業生活を支える。その積み重ねが技能実習制度本来の目的につながります。
そして、安心して技能を習得してもらうための土台となるのが、適正な労働条件です。
賃金を正しく設定し、必要な説明を行い、働いた時間に応じた賃金を適切に支払うことは、企業と技能実習生がお互いに信頼して実習を進めるための基本といえます。
ふれんど協同組合が組合員企業様の適正な受け入れを支援
ふれんど協同組合は、組合員企業により運営される協同組合です。
外国人技能実習生の受け入れ支援を行う監理団体として、技能実習生の受け入れに必要な手続きや、受け入れ後のフォローなどを行っています。公式サイトでも、外国人技能実習生の受入事業として、教育、受け入れ、アフターフォローなどの支援内容を案内しています。
賃金についても、「最低賃金を超えているか」だけを見るのではなく、産業別最低賃金の対象になっていないか、勤務実態と給与計算にずれがないかなど、複数の視点から確認することが重要です。
組合員企業様が安心して技能実習生を受け入れ、技能実習生本人も安心して技能を学べる環境をつくることが、制度を適正に運用していくことにつながります。
技能実習生の賃金に関するよくある質問
技能実習生の賃金について、受け入れ企業様が特に迷いやすいポイントをQ&A形式で整理します。実際の賃金設定では、自社に適用される最低賃金や最新の改定情報を個別に確認してください。
Q. 技能実習生の給与を最低賃金より低く設定することはできますか?
A. できません。技能実習生にも最低賃金法が適用され、最低賃金を下回る契約を結んだ場合でも、最低賃金を下回る部分は無効となり、適用される最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。
Q. 三重県の最低賃金は今後変わりますか?
A. 2026年度は時給1,143円への引き上げが答申されており、2026年10月1日の発効が予定されています。ただし、2026年8月17日時点では答申段階のため、実際に適用する際には三重労働局が公表する最新の確定情報をご確認ください。
Q. 地域別最低賃金と産業別最低賃金、どちらが優先されますか?
A. 両方に該当する場合は、高い方の最低賃金が適用されます。自社が特定(産業別)最低賃金の対象となるか分からない場合は、三重労働局などへ確認することが推奨されます。
Q. 技能実習生に残業をさせた場合、割増賃金は必要ですか?
A. はい。技能実習生にも日本人労働者と同様に労働関係法令が適用され、時間外労働や休日労働については割増賃金の支払いが必要です。
Q. 賃金設定について相談できますか?
A. ふれんど協同組合では、組合員企業様から技能実習生の受け入れに関するご相談を受け付けています。具体的な最低賃金の適用や法令上の判断が必要な場合には、三重労働局など関係機関の最新情報もあわせてご確認ください。
技能実習生の賃金・受け入れについてはふれんど協同組合へご相談ください
技能実習生の賃金について確認する際は、「三重県の最低賃金以上になっているか」だけで終わらせず、産業別(特定)最低賃金の適用、時間外・休日労働に対する割増賃金、待遇の考え方などを含めて確認することが大切です。
最低賃金は改定されるため、特に改定時期には最新情報を確認し、自社の給与設定を見直すことが推奨されます。
ふれんど協同組合では、組合員企業の皆様とともに、技能実習制度本来の目的を大切にした外国人技能実習生の受け入れを進めています。
現在技能実習生を受け入れている企業様はもちろん、これから三重県で受け入れを検討されている企業様も、分からないことがございましたらお気軽にご相談ください。
ふれんど協同組合
所在地:三重県名張市鴻之台二番町114-2 2F
電話:0595-41-0666(平日9:00〜16:00)
情報確認日:2026年8月17日
※本記事は一般的な制度情報を分かりやすく紹介することを目的としています。最低賃金や労働条件に関する最新情報、個別の適用関係については、三重労働局など関係機関の公表情報をご確認ください。