技能実習【1号】から【2号】への移行の条件・手続きとは?

2022年3月29日   ブログ

技能実習生の実習は、1号から3号の区分があり、まず1号からスタートし、その後、2号へ移行できます。
今回は1号から2号へ移行するための手続きや条件、さらに2号から先への移行についても説明します。

 

 

 

【1】技能実習1号・2号とは

  • 第1号技能実習…入国後1年目の技能等を修得するための活動
  • 第2号技能実習…1年目に習得した技能を更に向上させための2、3年目(2年間)の活動
    ※第2号の職種は1号と同じものとする

技能実習生に2号移行の意思があり、企業側も同意している場合、第2号技能実習を行うための手続きに入ります。
ただし、技能実習生全員が第2号として実習を継続できるわけではありません。

 

1-1  2号への移行条件

2号へ移行するためには、1号の実習終了前に行われる技能検定試験(実技・学科)に合格する必要があります。
その上で入国管理局の審査を通ると技能実習2号の在留資格を得ることができます。
また、2号へ移行できる職種は限られているため、2号への移行を希望している場合は初めから2号移行が可能な職種を選ぶ必要があります。
その点に関しては企業も受け入れ時点で技能実習生の意思をしっかり確認しましょう。

 

1-2  2号への移行対象職種

2021年3月時点での第2号への移行対象職種は85職種156作業となっており、内訳は以下の通りです。

  • 農業関係(2職種6作業)
  • 漁業関係(2職種10作業)
  • 建設関係(22職種33作業)
  • 食品製造関係(11職種18作業)
  • 繊維・衣服関係(13職種22作業)
  • 機械・金属関係(15職種29作業)
  • その他(19職種35作業)
  • 社内検定型(1職種3作業)

 

 

【2】技能実習2号への移行のための条件・手続き

では次に、技能実習2号へ移行するための条件や手続きについて説明します。

 

2-1技能実習生と受け入れ機関に対する要件

2号への移行には「技能実習生」と「監理団体・実習実施機関」、それぞれに求められる要件があります。
法律の言葉をそのまま引用するとわかりにくいので、ここではかみ砕いて説明します。

技能実習生への要件

  • 原則、1号と同様の企業で実習を行い、同様の職種に従事すること
  • 既定の技能検定などをパスしていること
  • 実習は技能実習計画に基づき、さらなる技術向上が目的であること

監理団体又は実習実施機関(企業)への要件

  • 国などの支援、指導を受けていること
  • 企業への定期的な監査・指導、実習生への講習、技能実習計画の作成など団体として定められた役割を果たしていること

 

 

2-2移行試験

先に述べたように2号への移行には試験に合格する必要があります。
試験は学科と実技があり、両方の合格が必要です。
受験は1号実習終了の2ヶ月前が推奨されているため、受験までのタイムテーブルは以下のようになります。

  • 試験申し込み…入国から半年後
  • 受験…入国から8ヶ月頃

技能実習生にとっては、まだ仕事にも慣れないうちから試験の準備も始めなくてはならず、身体的、心理的負担が大きいです。
そのため、入国してからの半年は特に受け入れ側のメンタル面を含めたサポートが必要です。

 

2-3技能実習計画の申請・認定

2号へ移行するには技能実習計画の認定が必要となります。
1号実習終了の3ヶ月前までに外国人技能実習機構(OTIT)へ申請を行います。

申請は同機構の地方事務所・支所でも受け付けています。
審査期間は2週間〜5週間程度で、認定されると通知書が交付されます。

 

2-4在留資格の変更許可申請

上記で交付された通知書を技能実習計画に添付し、実習生が働いている地域を管轄する入国管理局へ在留資格変更許可申請を行います。
変更許可がおりると晴れて第2号技能実習生として引き続き在留することが可能となります。
実習生の在留期限が切れる1ヶ月前までには申請しましょう。

 

 

【3】 2号から3号への移行について

技能実習には1号から3号の区分があり、2号の実習終了後さらに4~5年目の実習として、3号へ進むこともできます。

 

3-1 3号への移行条件

3号への移行には2号への移行と同様、技能検定への合格が必要です。
また、受け入れ側の企業が「優良要件適合者」の認定を受けている必要もあります。

認定の可否は技能実習生の受け入れ体制や待遇など、6項目で判断されます。
合計120点満点でそれぞれの項目に配点がされており、認定のためには6割以上の得点が必要です。

加えて3号の受け入れには監理団体の種類にも注意が必要です。
監理団体には「特定管理事業」と「一般管理事業」の2種類があり、3号の受け入れが可能なのは一般管理事業のみです。

 

 

【4】技能実習2号から特定技能実習への移行について


技能実習2号になると、次のステップとして3号への移行の他に、「特定技能実習」へ移行することも可能になります。

 

4-1 技能実習と特定技能の違い

技能実習
技術の習得と母国への伝達が目的

特定技能
日本企業の人手不足解消を目的に2019年4月に設けられた在留資格
詳しくはこちらの記事も参考にしてください
特定技能とは?制度や1号・2号の違いを解説

 

4-2技能実習2号から特定技能実習への移行

特定技能実習へ移行するためには、特定技能評価試験に合格する必要があります。
ただし、技能実習2号を良好に修了した実習生はこの試験が免除されます。

 

4-3特定技能の対象になる産業

特定技能外国人の受け入れは、下記の特定産業分野と呼ばれる14分野のみとなります。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材産業
  4. 産業機械製造業
  5. 電気・電子情報関連産業
  6. 建設業
  7. 造船・舶用工業
  8. 自動車整備
  9. 航空
  10. 宿泊
  11.  農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業

まとめ

いかがでしょうか。
今回は技能実習1号から2号への移行、さらに3号や特定技能への移行についても説明しました。
技能実習生が移行を希望している場合は、その妨げにならぬよう、企業側も各種手続きや申請を計画的に進めていくようにしましょう。